<セリエA:カターニャ1-1ローマ>◇27日◇カターニャ

 【カターニャ(イタリア)=猪野真美子通信員】カターニャFW森本貴幸(21)が、再び「大物キラー」ぶりを発揮した。ローマ戦の前半22分、ゴール前のこぼれ球から左足で今季3点目のゴールを決めた。昨季もローマ戦2試合で3得点を挙げていた。後半ロスタイムの失点で1-1の引き分けに終わり、「幻の決勝ゴール」となったが、10月のアジア杯予選香港戦(8日)から日本代表初招集が濃厚な若きストライカーが、あらためて世界に通じる決定力を実証した。

 一瞬のゴールチャンスを逃さなかった。前半22分、左CKを起点にDFポテンザのシュートがゴール前にこぼれる。森本はボールに寄り、そして左足を振り抜いた。昨季3得点を挙げた名門ローマから再びゴールを奪った。両手を両耳の横に当て、ホームサポーターの大歓声に気持ちよさそうに応えた。

 開始のホイッスルを前に、ピッチからメーンスタンドのサポーターに向けてガッツポーズし、自らを鼓舞した。序盤から積極的にゴールに向かい、優勢に試合を進めた。しかし今季初勝利を目前とした後半43分。DFデルベッキオのラフプレーを発端に、流れは一変。両チームが敵意をむき出しに口論を繰り広げ、ピッチ上は騒然。そんな状況で迎えたロスタイム突入3分目、CKから同点ゴールを許してしまった。森本は終了直後、相手MFモッタに肩をぶつけられ、つかみかかろうとして周囲に止められる場面もあった。

 森本

 いい内容だっただけに悔しい。今日は勝ち点3が取れると思ったのに。(最後の)CKは相手が出したボールなのに…。ゴールは関係ない。あーいう結果になって本当に悔しい。

 岡田監督は、10月の日本代表戦に森本の招集を示唆しており、初合流が濃厚だ。前回9月のオランダ遠征は左太ももの負傷で参加を見送ったが、今回は「そういう時が来たらがんばりたい」と短い言葉に力を込める。自身の決勝ゴール、チームの初勝利が幻となり、悔しさをあらわにした森本。飽くなき勝負への欲求に、イタリアでたくましく成長した男の姿があった。

 [2009年9月28日8時19分

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