<セリエA:キエボ2-1カターニャ>◇28日◇カターニャ

 【カターニャ(イタリア)猪野真美子通信員】カターニャ森本貴幸(21)が、プロ初の一発退場となった。キエボ戦に1トップで先発出場し、1点を追う後半37分、相手選手を後方からのスライディングタックルで倒してレッドカード。チームも1-2と敗れ、19位に転落した。当初は2試合の出場停止とみられ、11月14日の日本代表戦(対南アフリカ)にぶっつけ本番となることが懸念されたが、一夜明けた29日のスポーツ審判員の正式裁定で1試合の停止に決定。来月7日のナポリ戦には出場できることになった。

 エースの意地が、気負いとなって裏目に出た。1点を追う後半37分、ゴール前のクロスボールを相手にカットされると、取り返そうとスライディング。キエボMFイオリを背後から倒す形になった。悪意のあるプレーではなかったが、勝ち点の伸びないチームの現状が重圧となり、気持ちの焦りを生んだようだ。レッドカードを提示されると、潔くピッチから走り去り、ロッカールームへと消えた。得点源を失ったカターニャは、終盤の反撃もできずに敗れた。

 森本は試合後、取材エリアに最初に現れたが、報道陣の姿を見つけると「ちょっと今日はコメントは…」と消え入りそうな声でつぶやき、伏し目がちに通り過ぎた。04年に東京Vでプロデビューしてから6年目。初のレッドカードというショックに加え、チームに迷惑をかけたという自責の念が重なった。

 今季はチームトップの3ゴールを記録するも、先月27日のローマ戦を最後に、最近1カ月は無得点。この日は後半5分に縦パスから左足のボレーでシュートを狙ったが、ボールは当たり損ねてピッチ外へ。動きは悪くなくても、チームを勝利に導けない気負いからか、持ち前の鋭さが影を潜めていた。アッツォーリ監督は「レッドカードは望んだものではなかったが、全力を尽くして戦ってくれた結果なので、責めるつもりはない」と擁護した。

 後方からのスライディングタックルとあって、当初は2試合の出場停止(1日フィオレンティーナ、7日ナポリ戦)が見込まれた。しかし、スポーツ審判員の裁定は「1試合の停止」どまり。来年のW杯を想定した南アフリカ戦にぶっつけ本番となれば、試合勘の鈍りが懸念されただけに、それを免れたのは救い。19位まで転落したカターニャにとっても、エース不在が1試合で済んだのは「不幸中の幸い」となった。

 [2009年10月30日9時19分

 紙面から]ソーシャルブックマーク