アイスランドの火山噴火が、思わぬ形で欧州サッカーに飛び火した。噴煙の影響で主要空港が閉鎖される中、欧州連盟(UEFA)は過密スケジュールから、18日に欧州チャンピオンズリーグ(CL)準決勝を予定通り行うことを発表。これを受けてリヨン、バルセロナは長距離のバス移動を余儀なくされた。先週末のリーグ戦もかさみ、両チームの走行距離は1000キロ突破へ。決勝の舞台マドリード(5月22日)への道は、とてつもなく険しいものとなった。

 欧州CL準決勝に臨むアウェー2チームにとって、決勝への道のりはさらに遠いものとなった。アイスランド噴火で火山灰は地中海にまで到達。ドイツ、フランスの主要空港は封鎖されたまま、再開のめどは立たず。そこへUEFAの非情な通達を受け、苦肉のバス移動が待っていた。

 まず21日にバイエルンと対戦するリヨンだ。17日夜のフランスリーグのボルドー戦(2-2)を戦うため、往復約700キロの行程を2日かけて移動したばかり。そこへ今度はミュンヘンまで、片道約750キロという長旅が待っていた。DFクリスは「(ボルドー戦は)往復10時間もかかるハードなものだった。だけど僕らには選択の余地なんてない。これを受け入れるしかない」。修行僧のような風ぼうのブラジル人は、気丈に話した。

 ちなみにボルドー戦の往復、ミュンヘンまでの走行距離を合わせると、約1450キロ。札幌~大阪間(約1500キロ)にも匹敵する大移動になる。バイエルンが公式サイトで「リヨンがバスでやってくる」と紹介するなど、場外戦で大きな盛り上がりをみせる。

 一方、バルセロナは20日のインテル戦に向け、18日午後2時半に出発。17日夜にエスパニョール戦(0-0)を終えたばかりだが、MFブスケは「下部組織の時でも最長のバス移動は5時間だった。だけどバス移動を言い訳にはしない。チームが1つにまとまるチャンス」と前向きに話した。

 皮肉にも一行が旅立った1時間後、バルセロナ空港は業務を再開。チームはそれに気付いたが「イタリア側の状況が微妙だし、バスが安全」と後ろを振り返らず、ミラノを目指した。チームドクターの指示で、同日夜はフランスのカンヌで宿泊。テレビニュースで「大移動」を知った地元ファンが押しかけ、追い打ちをかけるように選手にサイン、写真撮影を求めた。そして翌日午前にミラノまで無事に移動。合計985キロという道のりを走破した。

 [2010年4月20日8時48分

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