<ブンデスリーガ:ハンブルガーSV2-1シャルケ>◇21日◇ハンブルク

 【ハンブルク(ドイツ)=中野吉之伴通信員】シャルケの日本代表DF内田篤人(22)にとって、ほろ苦いリーグデビュー戦となった。内田はハンブルガーSV戦の後半14分から途中出場。1-1で迎えた後半38分、自分の守る右サイドを破られ、痛恨の決勝点を許した。守備の課題が浮き彫りになる一方で、ロスタイムには左足の強烈なミドルシュートで相手ゴールを脅かすなど、持ち前の攻撃力も発揮。試合には敗れたが、今後への手応えもつかんだ。

 内田の一瞬の迷いが、決勝ゴールにつながった。後半38分、右サイドで相手FWゲレーロにパスがわたる。「取りに行こうか迷った」。体を寄せるタイミングが遅れたところ、大外からMFゼ・ロベルトに飛び出された。縦パスを送られ、独走を許す。FWファンニステルロイの決勝点を見送るしかなかった。

 不運もあった。後半14分に途中出場したが、1分後にDFヘベデスが相手選手の突破をファウルで止め、2枚目のイエローカードで退場。1人少なくなり、ボランチのジョーンズがセンターバックへ下がったが、この場面ではジョーンズのカバリングがなかった。内田は「一人少なくなり、どうやってやるのかなと探りながらやった。むこうは両サイドにいい選手がいたから気をつけていたけど」と悔しげに話した。

 リーグ初戦となったハンブルガーSV戦。先発出場が期待されたが、ベンチスタートとなった。マガト監督は「このリーグに慣れている」という理由で、本職はボランチというMFマティプを右サイドバックで先発起用。しかし、右サイドを破られて先制点を許すなど、アウェーでの奇策は裏目に出た。1点を追う展開に、マガト監督から「(攻めて)行け」と指示され、ピッチに送り出された。

 守備の課題が浮き彫りとなる一方で、持ち前の攻撃力は見せた。後半ロスタイム、MFモリッツが下げたボールに後方から走り込み、ペナルティーエリア外から左足の強烈なシュートを見舞った。横っ跳びした相手GKロストのファインセーブに阻まれたが、敵地の相手サポーターからは大きなため息が漏れた。

 33年前の奥寺康彦(当時ケルン)以来、日本人8人目となるドイツ1部リーグでデビューを果たした。内田は「攻撃では裏に抜けて振り切れば、いける感触はあった」。ほろ苦さは残るが、手応えもつかんだ。

 [2010年8月23日11時7分

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