<ブンデスリーガ:レーバークーゼン2-0ドルトムント>◇22日(日本時間23日)◇ドルトムント

 【ドルトムント(ドイツ)=西村友通信員】C大阪からドルトムントへ移籍したMF香川真司(21)が、リーグ開幕戦で、7万人以上の大観衆をくぎ付けにした。強豪レーバークーゼン戦に先発フル出場。0-2で敗れたが、元ドイツ代表MFバラックからボールを奪ってチャンスをつくるなど、実力を発揮。開幕前に7戦5発と結果を出し定位置をつかんだ無名の日本人が、開幕戦で本場のファンからエースとして認められた。

 いきなりエースとして認められた。香川へのファウルには、どの選手よりも大きなブーイングが起こる。どしゃ降りの雨の中、7万人以上の声援を一身に浴び、香川はピッチで躍動した。不発で敗戦も、サポーターのハートはがっちりつかんだ。

 「自分の中では一番大事な試合。これまで点をとってきたけど、自分の中では関係なかった。失望は大きい。ただ、あらためて、やれると感じた」。トップ下で先発し、後半途中から最も得意な左MFでプレーした。前半10分、エリア内に侵入すると、絶妙のトラップで相手DFを振り切って裏へ抜け出す。シュートはGKにセーブされたが、ゴールへの強い意欲と高い技術が生んだ決定機だった。

 同12分には、長年ドイツ代表のエースに君臨したバラックから軽々とボールを奪い、前線へドリブルを仕掛けた。「今日に限ってはバラックにしろ、そんなに強いと感じなかった。問題なく自分のプレーができた」。ドイツの文化を学ぼうと、ドライブを楽しむ毎日。気後れなど、あるはずがなかった。

 それでも「最初のアップの時はすごい興奮した」という。「でも、あくまで1試合にすぎないと気持ちを落ち着かせ冷静になれた。個人としてはいい入りだったけど、チームとしては消極的なプレーが目立った。次に向けて切り替えて修正したい」。始めの1歩がなければ、その先もない。ブンデスリーガとして確かな痕跡を刻んだ。

 [2010年8月24日10時41分

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