<ブンデスリーガ:ドルトムント4-1ボルシアMG>◇27日◇ドルトムント

 【日本時間28日=西村友通信員】ドルトムントの日本代表MF香川真司(21)が、ホームのボルシアMG戦で決勝ゴールを決めた。1-1の後半7分に今季7点目を奪い、4-1の逆転勝利に貢献した。チームは2位のマインツと勝ち点7差で首位をキープ。前節20日フライブルク戦ではクロップ監督から初カミナリを落とされた悔しさをバネに、華麗なゴールで結果を出した。

 ほれぼれするゴールだ。後半7分、香川はスルーパスに反応する。ゴール前中央でボールを受けると冷静に相手GKをドリブルでかわし、そのままゴールネットへ流し込む。華麗な勝ち越し弾。思い切り右手を振り上げると、両手の人さし指を天に上げ、8万人の大歓声に応えた。

 「冷静に決めることができた。今日も先制されたけど、2試合連続で逆転できているのはすごい評価できる。相手が最下位であろうと逆転するのはなかなか難しい。落ち着いて試合運びができている」。

 「課題は世界と戦えるフィジカルを身につけることです」。W杯南アフリカ大会のメンバーから落選した5月10日。涙をこらえながら声を振り絞った。7月にドイツへ渡ると、日本代表の岡田前監督から「お前は本当に下手だ」と言われ続けたヘディングの技術も飛躍的に上がった。この日は前半30分に長身のDFと競り合って、決定的なヘディングシュートを放った。

 仲間を大切にする熱い男で、だれからもかわいがられる。昨年12月の大みそかには浦和MF柏木、大分FW森島と3人で集まった。全員が神戸出身できずなは深い。1軒目は好物のすしを食べ、2次会はカラオケへ。約20万円の全額は1学年上の柏木が支払った。

 香川の面倒を見る柏木は言う。「あの時は代表合宿(イエメン遠征)が始まる前日だったんですよ。真司は移籍するか残留するかで悩んでいましたね。まあ、おれがおごりましたけど」。移籍のはざまで悩む香川は、こうした仲間に支えられて挑戦の道を歩んできた。

 常に自然体。だから、ここ一番で実力を出せる。C大阪からドルトムントへ移籍する記者会見では、サンダル姿で出席しようとして、広報から怒られたこともある。前節は移籍後、最低のプレー内容でクロップ監督からハーフタイムに名指しで非難されたが、激しいマークを受ける中で、すぐに結果を出して見返した。

 「いかにシュートまで持っていくかが課題。こういう相手がどんどん増えると思う。もっと、しっかりやりたい」。ドイツで「極上のすし」と呼ばれる香川の鮮度は落ちないどころか、これから一層の輝きを放つ。

 [2010年11月29日8時55分

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