【ミラノ(イタリア)1日=波平千種、猪野真美子通信員】日本代表DF長友佑都(24)が、いきなり世界最高峰の舞台で真価を発揮する。冬季移籍期間最終日の1月31日にセリエAのチェゼーナからリーグ5連覇中で、昨季のクラブW杯を制したインテルミラノに電撃移籍した。現地報道によると移籍金は600万ユーロ(約6億6000万円)でDFサントンが交換要員。移籍手続き完了が交渉期間終了の午後7時(日本時間1日午前3時)3分前という滑り込みだった。早ければ3日のリーグ戦のバリ戦に出場。そして、23日の欧州チャンピオンズリーグ(CL)でのBミュンヘン(ドイツ)とのビッグマッチで世界にアピールする。

 世界一クラブへの移籍にも、気後れするところはなかった。長友はインテルとの契約を完了すると、クラブハウスに集まった報道陣を前に、「ソノ・モルト・フェリーチェ・ディ・ジョカーレ・コン・インテル(インテルの一員としてプレーできてうれしいです)」と、自慢のイタリア語を披露。名門クラブの一員として、初日から「つかみはOK」だった。

 電光石火の契約だった。インテルとチェゼーナの幹部が初会談したのが、長友がカタールからイタリアに戻った1月30日の夜。31日にインテルから正式オファーが舞い込んだ。同日に予定されていたチェゼーナでの練習をキャンセルし、ミラノに移動。午後6時すぎにクラブハウスに入った。同席した代理人のロベルト佃氏によると「(合意は31日午後6時)57分だった」という。そして同58分にはクラブのホームページに、インテルの青と黒のしまのユニホームをまとった長友の写真がアップされた。

 長友は2日のチーム練習から参加予定で、最短で翌3日のバリ戦でインテルデビューする可能性がある。バリから戻った後に入団会見が予定され、23日には欧州CLで強豪のBミュンヘン戦が控える。いきなり世界レベルでの真価が問われる大舞台になる。ビッグクラブならではのハード日程にも、長友は「世界一のクラブにこれてうれしい。まあ勝負の年になるだろうし、頑張るだけです」と意気込んだ。

 契約は6月までのレンタル移籍。完全移籍する場合には、レンタルでの200万ユーロ(約2億2000万円)に加え追加で400万ユーロ(約4億4000万円)の、計600万ユーロ(約6億6000万円)が移籍金としてインテルからチェゼーナへ支払われる。インテルはDFルシオが左足太ももを痛めて約1カ月、戦列を離れることが決まった。サイドバックの長友と、センターバックのルシオはポジションが違うとはいえ、DFの人数が減れば、長友の出場時間が増えるのは間違いない。活躍次第では、完全移籍を望む声が上がってくるのは間違いない。

 コリエレ・デロ・スポルト紙は「長友は早くもインテルの歴史に入り込んだ」と、記者会見での親しみやすい人柄を評価。「本当に自分との勝負にもなるし、人生一度きりなんで。まあチャレンジしたいという気持ちです」という長友に期待する声は多い。

 [2011年2月2日9時14分

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