<セリエA:ユベントス1-0インテルミラノ>◇13日◇トリノ

 【トリノ(イタリア)=波平千種通信員】インテルミラノDF長友佑都(24)が、ユベントスとの伝統の一戦「イタリアダービー」で、2試合連続途中出場した。後半27分に登場すると、MFにポジションを上げたサネッティに代わって左サイドバックでプレー。持ち味のオーバーラップを何度も見せたが、パスが供給されず、チームも敗れた。

 スタンドで火薬の爆発音が何度もとどろく、敵地の異様な雰囲気の中でも、自分のプレーに徹しようとした。長友は、中央でエトー、スナイダーがボールを受けるのと合わせて、何度も左サイドを駆け上がった。だが思うようにパスを受けることはできず、左サイドから、効果的なクロスを入れることもなかった。レオナルド監督も試合後、「左サイドをプッシュしてクロスを上げさせようとした。ユベントスが抑えに来たこともあり、長友にとっても、簡単ではなかった」と、期待ほど機能できなかったことを認めた。

 長友についてガゼッタ・デロ・スポルト紙は「最後の15分で『ラストサムライ』のようになることを期待していた人たちを失望させた」。コリエレ・デロ・スポルト紙も「何十分かプレーして、その何度かのボールタッチはスタジアムの日本人だけを魅了した」といずれも5・5点の辛口評価。ただレオナルド監督が「いいところもあり、悪いところもあった」と言うように、相手右サイドのセルビア人MFクラシッチに仕事をさせないなど、一定レベルのプレーは見せた。

 試合前、インテルのバスは、約100人の相手サポーターに囲まれ、卵や水のボトル、コインを投げつけられた。試合後も長友らインテルの選手たちは報道陣の前に現れることなく、スタジアムを後にした。緊張感漂う一戦を戦い抜いたのは、間違いなく今後の糧となる。ブランカ強化部長は長友について「チームに溶け込んでいるし、戦術的な部分は完璧だ」と話した。あとはボールを触る機会を増やすため、信頼を勝ち取っていくだけだ。

 [2011年2月15日9時2分

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