インテルミラノDF長友佑都(24)が日本人選手の力を世界に認めさせた。6日のジェノア戦に後半33分から出場し、同39分に左足でイタリア移籍後初ゴールを決め、勝利に貢献。ビッグクラブでは日本人は通用しないというイタリアでの偏見を、限られたチャンスに結果を出すことで打ち破った。

 初ゴールを決めた後、同僚のDFサネッティに対してお辞儀をしたように、世界一のクラブで活躍しても、長友は感謝の心を忘れない男だ。セリエA初得点から一夜明けた7日、愛媛・西条北中時代の恩師、井上博教諭(41=現新居浜北中)に電話をかけていた。井上教諭によると「チェゼーナ時代から得点をずっと狙っていて、やっと取れました。落ち着いたらインテルのグッズを送ります」と、かなり興奮気味に話したという。

 長友は中学時代、サッカー部の顧問をしていた井上教諭から「3本の柱」という教育を受けた。内容は「自分づくり」「仲間づくり」「感謝の心」。この教えを、その後のサッカー人生でも守り続けている。2歳年下で、東福岡高の寮で共に過ごした弟の宏次郎さんは、「兄には特に『感謝の心を忘れるな』と口酸っぱく言われてました」と当時を振り返る。

 明大1、2年時にフィジカルコーチを務めた芝田貴臣氏(30=現横浜FC)も、長友の人間性にほれ込む。ゴール祝いのメールを送ると「次はもっと期待してください。おもしろいこと、やってやります」と返信が届いたという。「彼は絶対にお世話になった人への感謝を忘れないんです」と同氏。長友は入学直後に椎間板ヘルニアを患った。同氏は治療のため、授業と練習が終わった午後11時から、日付が変わるまで連日付き合った。「二人三脚でしたね。僕は仕事なので当然ですが、長友は感謝してくれているみたいで、いまでも連絡をくれる。本当に律義な男です」と証言する。

 目標に向けて努力し、所属先のチームメートとはすぐにうち解け、感謝の心を忘れない。「3本の柱」が長友の成長の礎となっている。【塩谷正人、阿部健吾】