<セリエA:インテルミラノ2-1チェゼーナ>◇30日◇チェゼーナ

 日本代表DF長友佑都(24)が所属するインテルミラノが後半ロスタイムに2点を奪う劇的な逆転で、アウェーのチェゼーナ戦に勝ち、逆転優勝へのかすかな望みをつないだ。後半14分から途中出場したFWパッツィーニが同46、50分に連続ゴールを決めた。長友はセリエAデビューした古巣との初対戦で、相手サポーターからも温かく迎えられた。左サイドバックでフル出場してチーム勝利に貢献した。

 優勝の望みをつなぐ1勝にも、長友は複雑な表情だった。「チェゼーナはつらい負けだったと思うが、ボクらは勝つことがすべてだった」と残留争いを続ける古巣を思いやった。試合前には相手サポーターからユート・コールが起き、クラブからはシンボルのタツノオトシゴの記念品を授与された。同僚選手にも、サポーターにも愛された証明だ。「温かく迎えてくれた。本当に心が温かくなった」と振り返った。

 晴れない気持ちは古巣の苦境のせいだけではない。プレーでも完全燃焼できなかった。終盤まで1点を追う展開にも、あきらめずに走り続けた。だが、インテルの同僚は、古巣の選手が長友のプレーを熟知していることを警戒し、ボールを回してくれなかった。

 イタリア各紙の評価も平均からやや下の5・5~6・0点。ガゼッタ・デロ・スポルトは「決め手がなかった」と指摘。チーム内でさらに強い信頼を獲得するという課題が浮上した。(波平千種通信員)