ウォルフスブルクの日本代表MF長谷部誠(27)が早くも“個人タイトル”獲得だ。著書「心を整える。」が28日までに、85万部の売り上げを記録したことが分かった。3月に出版されて以来、売り上げの勢いは強まるばかり。出版元の幻冬舎によると、100万部超えは確実で、年間ベストセラーになる可能性も十分にある。長谷部はこの日、来季開幕に備え、チームに合流するため成田空港からドイツに向けて出発した。

 長谷部が出発ロビーに姿を見せると、あっという間に女性ファンに囲まれた。さっそうと歩きながら、ファンと握手を交わし、声援にも手を振って応えた。女性たちの年齢層は10~60代にわたっており、人気の幅広さを感じさせた。

 人気はもはや、社会現象と言っていい。日本代表主将による自己啓発本という異色の構成で注目された初著書「心を整える。」が、驚異的な勢いで売り上げを伸ばし続けている。

 出版不況の中、この日までに売り上げは、85万部を超えた。出版取次大手トーハンの調べによる28日付の週間売り上げランキング(総合部門)では、SMAPの料理本「おうちで簡単!

 ビストロスマップ」や、人気作家の東野圭吾氏(58)の新作「真夏の方程式」を抑え、2週連続の首位に輝いた。

 この勢いに幻冬舎は「100万部を超えるのは時間の問題です」と話す。今年に入って出版された書籍で100万部を超えたものはなく、年間ベストセラー首位の可能性は十分。ピッチ外とはいえ、うれしい“個人タイトル”を手中に収めることになりそうだ。

 長谷部は新シーズン開幕に備え、この日ドイツに向かった。今季はチームが不調で、人生初の残留争いを経験した。「貴重な体験で得るものはあった」というが、来季は「優勝争いに絡んでサッカーをもっと楽しくやりたい」という。

 移籍も視野に入れており、プレミアリーグにも強い関心を持っている。「(進展は)特にないです。(移籍期間も)あと2カ月間あるので、どうなるか分からない」と去就については焦らず向き合っていくつもりだ。

 G大阪FW宇佐美貴史(19)が同じブンデスリーガのBミュンヘンに移籍が決まった。「刺激になるし(ドイツでプレーする)年長者として負けられない気持ちもある」。それでも「自分が誘ってもいいし、ミュンヘンは近いから自分が行ってもいい」と“歓迎会”を開く意向も示した。