<ドイツ杯:ドルトムント5-2Bミュンヘン>◇決勝◇12日◇ベルリン
ドルトムントの日本代表MF香川真司(23)が名将の目の前で、その価値を証明した。Bミュンヘンとのドイツ杯決勝に、トップ下として先発。同MF獲得に興味を示すマンチェスターUのファーガソン監督が見守る中、1ゴール1アシストをマークしてチームを23季ぶり3度目の優勝に導いた。リーグ戦とカップ戦の2冠は、ドルトムント103年のクラブ史上初の快挙となった。
名将の目が香川にくぎ付けになった。前半3分。右サイドでこぼれ球を拾った右MFブワシュチコフスキが、飛び出した相手GKノイアーをかわしながら中央へクロス。走り込んだ香川が、左足で先制ゴールを決めた。
「バイエルン相手の決勝で結果を残してやろうという強い気持ちがあったんで。どんなゴールであれ、こういう舞台で結果を出せたっていうのはすごいうれしい」。香川は2-1の前半ロスタイムにも、中央でボールを受け、ゴール前へ走り込んだFWレバンドフスキへアシスト。前半だけで1得点、1アシストをマークし、試合の流れを完全に引き寄せた。
これだけでも十分な活躍だが、後半13分には中央をドリブルで上がり、レバンドフスキのゴールの起点となった。香川はチーム5点中3点に絡み、フェラン助監督とともにスタンドに陣取ったマンチェスターU・ファーガソン監督に強い印象を植え付けた。
翌日に優勝をかけたリーグ最終戦を控えた指揮官が、他国での試合を観戦に訪れるのは極めて異例。だがその裏には同MF獲得競争の激化がある。英メディアではマンチェスターUが最有力とされているが、ACミランやチェルシー、ここに来てアーセナルも興味を示すなど、ライバルは多い。そんな中、ファーガソン監督が実際に足を運ぶことは、移籍金700万ポンド(約9億3500万円)ともいわれる香川へ熱意を伝えることにもなる。
この日のテレビ放送では、同監督の姿が映し出され、翌13日の英メディアも大々的に報道。ミラー紙は「視察」と「小切手」という2つの意味を持つ「check」という単語を使い、「ファーガソン監督が香川を個人的に視察(ファーガソン監督が香川に個人的に小切手を支払う)」という二重の意味の見出しを掲げた。
香川はこの日も去就については多くを語らず。「じっくり考える」とだけ口にした。だがこれでドルトムントは23季ぶり3度目のドイツ杯制覇。ライバルBミュンヘンに、08年決勝で延長戦の末に敗れたリベンジを果たした。さらに連覇を達成したリーグ戦と合わせ、103年のクラブ史上初となるシーズン2冠を達成した。
「1年間の集大成として最後の試合に臨み、結果を残せた。成長した得点だったのかなと思います。今年はうまくチームをまとめて、組み立てることが出来た。そういう意味ではすごい充実感がありますし、達成感もある」。大きな仕事を成し遂げた香川が、さらなる大舞台へとはばたく可能性はまた高まった。(鈴木智貴通信員)

