夢の扉がついに開いた。日本代表FW香川真司(23)が、英プレミアリーグの名門マンチェスターUと正式契約し、ドイツ・ドルトムントからの完全移籍が完了した。22日に現地でメディカルチェックを受け、就労許可証も取得。23日に帰国した。年俸320万ユーロ(約3億2000万円)の4年契約。1700万ユーロ(約17億円)+出来高で最高2200万ユーロ(約22億円)の移籍金について「下げてまで行くつもりはなかった」と強気の交渉だったことを明かした。(金額は推定)

 長旅の疲れよりも、新天地への思いが勝った。マンチェスターUと正式サインした香川は、帰国した成田空港で「歴史あるクラブで挑戦できる権利を得た。日々が戦いになる」と熱く語った。予想していなかった別名「夢の劇場」と呼ばれる本拠地オールドトラフォードで行ったサイン。練習場など施設も見学し「感動と同時に『ついにきたな』という気持ち」と眺めたピッチ上に、活躍する自分の姿を思い描いた。

 新たな挑戦は「22億円の男」を証明する道になる。出来高を含め約22億円とされる移籍金が、昨季まで所属したドルトムントへ支払われる。金額は選手自身の価値を示すが、香川は「移籍金を下げてまで行くつもりはなかった。高いのか低いのかは分からないけど、しっかりとした評価を聞いた上で判断した」。同じプレミアリーグの強豪チェルシーやマンチェスターCと競合する中、先月14日のファーガソン監督との直接会談で評価を聞いたことが決め手となった。

 ただ、世界屈指の名門クラブへの大型移籍は、金額の分だけ期待もふくらむ。「試合に出られなければ間違った判断だと思われるし、リスクある挑戦。加入した地位や名誉なんか考えていない。歴史あるクラブに、僕も名前を刻む」と、厳しい戦いは覚悟の上だ。

 背番号は「思い入れのある番号を希望した。またスタートラインに立っただけなので」と、C大阪時代に背負った26や8か、ドルトムントでの23になる見込み。入団会見が行われる7月上旬には再び渡英する予定で、「自分の良さを発揮できれば、必ず活躍できる」と確信する。希望するトップ下で定位置獲得となれば、イングランド代表FWルーニーとのコンビ。香川の舞台が、夢の劇場へと移っていく。【栗田成芳】