ロンドン五輪代表主将を務めた日本代表DF吉田麻也(24=VVV)の英プレミアリーグ・サウサンプトンへの移籍が24日、有力となった。すでに詰めの交渉を残すのみで、今日25日にオランダで最終交渉が行われる。英国の労働許可証取得など手続きがスムーズに進めば、最短で9月2日(日本時間3日)のマンチェスターU戦(ホーム)でデビューを飾るプランも判明。麻也対香川-。日本代表の攻守の要が、欧州最高峰の舞台で激突する可能性が出てきた。

 ロンドン五輪を沸かせた吉田がプレミア移籍を果たす可能性が高くなった。24歳の誕生日だった24日に明らかになった“朗報”。新天地の最有力候補はサウサンプトン。今季プレミアに復帰し、日本代表の同僚FW李忠成も所属するクラブだ。吉田はオーバーエージ枠で選出された五輪で堅守とリーダーシップを発揮。日本を4強に導く活躍で欧州スカウト陣の注目を集め、去就が注目されていた。

 吉田はかねて、今夏の欧州内移籍を熱望していた。日本代表のベネズエラ戦を終え欧州に戻る16日には成田空港で「ステップアップしたい。今夏、移籍できると信じている」と話した。10年1月から所属するVVVのベルデン会長も移籍を容認。契約期間内で移籍金(違約金)が発生するが、これについてもサウサンプトンはVVVを納得させるに十分な推定250万ポンド(約3億2000万円)を提示しているという。

 同じプレミアのWBA(ウェストブロミッジ)とセリエAのキエボも交渉のテーブルにつく姿勢をみせているというが、移籍金に加え複数年の契約年数や年俸など諸条件を提示して熱意を示しているサウサンプトンが1歩リード。吉田の代理人の清岡哲朗氏も同席する今日の交渉で両クラブ首脳が最終決断を下せば、即仮契約を結ぶ運び。まとまれば、吉田はリーグのデンハーグ戦(ホーム)には出場せず、そのまま手続きのため英国に飛ぶプランもある。

 プレミアはすでに開幕しており、サウサンプトンは20日の開幕戦で昨季王者のマンチェスターC相手に2-3と惜敗している。昇格組のため守備の強化は急務。吉田獲得を熱望するアドキンス監督は、英国の労働許可書取得や身体検査など登録に必要な手続きをできる限りスムーズに済ませ、9月3日の大事なマンU戦に吉田をベンチに入れる意向まで持っているという。トップ下で上々のデビューを飾った香川らマンUの超豪華攻撃陣に、日本代表の最終ラインを担う吉田が立ちはだかる-。こんな興味をそそる組み合わせが早くも実現するかもしれない。

 プレミアはもちろん、欧州主要リーグで過去に日本人センターバックが活躍した例はない。移籍がまとまれば、189センチの長身に加え攻撃を組み立てる足元の技術も高い吉田が、サッカーの母国で新たな挑戦を始めることになる。

 ◆吉田麻也(よしだ・まや)1988年(昭63)8月24日、長崎県生まれ。名古屋ジュニアユース-同ユースから07年に名古屋入り。J1通算71試合5得点。10年1月にオランダ1部VVVに完全移籍。08年北京、12年ロンドンの両五輪代表。10年1月に日本代表に初招集され、ザッケローニ監督就任後は、センターバックのレギュラーを確保した。国際Aマッチ通算17試合2得点。愛称は「マヤ」。ブログが大人気。189センチ、81キロ。

 ◆サウサンプトン

 1885年創立、英南部ハンプシャー州に本拠地を置く。76年に優勝したFA杯が唯一獲得したタイトル。昨季2部で2位となり、8季ぶりにプレミアリーグ復帰を果たした。主な選手は、2部で得点王になったFWランバートや、42試合に出場したDFフォンテ。アドキンス監督。本拠地のセント・メリーズ・スタジアムは、3万2000人超収容。チームカラーは赤と白。愛称は「セインツ」。