<プレミアリーグ:マンチェスターU3-2フラム>◇25日◇マンチェスター

 マンチェスターUの日本代表MF香川真司(23)が「シアター・オブ・ドリームズ(夢の劇場)」オールドトラフォードで主役となった!

 本拠地デビュー戦で移籍後、公式戦初ゴールを奪った。今季ホーム初戦のフラム戦でトップ下で先発出場。1-1で迎えた前半35分、ミドルシュートを相手GKがはじいたところを、ゴール正面で確実に右足で流し込んだ。チームも勝利。本拠地のサポーターに新戦力の背番号26を強烈に印象づけた。

 世界中の選手があこがれる「夢の劇場」で、香川が主役となった。前半35分、MFクレバリーのミドルシュートをGKがはじき、そのこぼれ球を確実に右足で流し込んだ。周囲を見渡し、オフサイドでないことを確認すると、右拳をアッパー気味に突き上げ、歓喜の雄たけびを上げた。

 予感はあった。試合が進むにつれてボールタッチが増え、同23分には左足からミドルシュートを放った。GK正面に飛んだが、本拠地のサポーターからは大きな拍手が起こった。同24分にはカウンターからMFヤングに好パスを通すと、その11分後にマンUの輝かしい歴史に「香川真司」の名を刻む一撃をマークした。

 前半3分にまさかの先制点を許したが、同じく新戦力のFWファンペルシーが豪快な左足ハーフボレーで同点弾を突き刺した。嫌でも比較される新戦力同士。ただ、香川に焦りはない。ピッチを幅広く動き回り、ボールを呼び込み、小気味よくパスを散らし、そして得点機に絡む。持ち味を存分に発揮してみせた。

 20日のリーグ開幕エバートン戦ではトップ下で先発フル出場したものの、チームは敗れ「負けたことに、ものすごく責任を感じている。悔しさを忘れずに頑張りたい」と反省ばかりだった。だが、ファーガソン監督は24日の試合前日会見で「(香川)シンジは両足が使えてバランスが良く、素早い。本当に満足している」と絶賛。この日も定位置のトップ下で先発した。

 実は指揮官が香川獲得に際し、周囲に理由を明かしたことがあるという。関係者によると「献身的で技術が高く、得点に絡める選手はたくさんいる。だが、献身的で技術が高く、得点を奪える選手はそうはいない。香川は得点が奪える選手だ」と明言。移籍当初から香川への期待と信頼を口にしていたというのだ。

 大黒柱のFWルーニー、ウェルベック、ベテランMFスコールズ、ギグスはこの日は控え。中心選手として迎えた本拠地初戦で先発し、真価を発揮。後半に入ると、ことごとくパスに絡んだ。その姿にはマンUの中心の雰囲気さえ漂った。

 後半23分、ルーニーと交代してピッチを退く際にも大きな拍手が起こった。敗戦の責任を背負ったエバートン戦から5日。「結果を残すことが大事」と言い続けてきた背番号26は、チームに勝利をもたらすゴールで、歴史的で極めて大きな1歩を踏み出した。【小野真由子通信員】