<欧州CL:マンチェスターU1-0ガラタサライ>◇1次リーグH組◇19日◇マンチェスター

 腰痛を患っていたマンチェスターU(イングランド)の日本代表FW香川真司(23)が、大会初戦のガラタサライ(トルコ)戦で2戦ぶりに出場。MFカリックの決勝ゴールをアシストして、勝利に貢献した。ドルトムントに所属していた昨季は1次リーグ最下位で敗退。名門のユニホームをまとい、優勝を目指す今大会は幸先の良いスタートとなった。

 日本代表合流時に痛めた腰の不安を吹き飛ばした。0-0の前半7分。中央を上がった守備的MFカリックからパスを受けた香川は、DFを自分の足元に引きつけ、ゴール前に走り込んだ同MFへパスを戻した。カリックは1対1となったGKをかわし、左足で先制ゴール。香川はゆっくりと歓喜の輪に加わった。

 香川は後半39分にウェルベックと交代するまで、ピッチを駆け抜けた。日本代表から戻った15日のウィガン戦は大事を取って欠場したが「今、痛いところはないから、もっとコンディション上げてやっていく必要がある」。今後はむしろフィジカル面で自分を追い込む意気込みすら示した。

 昨季まで所属したドルトムントではブンデスリーガ連覇こそ果たしたが、欧州の大舞台では勝てなかった。前回CLでは自らの不振とともにチームは屈辱の1次リーグ最下位。「個人としても、チームとしても、何かボーっとして試合に入ってしまった」と経験の浅さを露呈した。

 その悔しさがあるからこそ、さらなる高みを目指し、オフに名門マンUのユニホームを選んだ。香川はこの日の試合後には「特に緊張せずにできた。盛り上がるという意味では、ドルトムントの方が盛り上がっていた。こちらの方がサッカーを見ていた感じ。そういう意味で違った」と周囲を観察する「CL2年目」の余裕すら感じさせた。

 マンUも昨季CLでは「若手を試しすぎて」(ファーガソン監督)まさかの1次リーグ敗退を喫した。同監督は「プレミアリーグなら伝統の4-4-2システムでもいい」というものの、バルセロナやRマドリードといった強豪と対戦するCLでは「中盤が厚い4-2-3-1が必要だ」と断言する。その「3」の真ん中が香川だ。腰痛だからといって、おちおち休まれては困る存在なのだ。

 翌20日の地元各紙は香川のプレーについて、まずまずの評価を与えた。サン紙が「6」、ミラー紙は「7」。クラブ公式サイトでは、ファーストタッチや、鋭いパスで相手DFを翻弄(ほんろう)したことなどが評価され、マン・オブ・ザ・マッチ候補にも入った。それでも香川は「試合の中で結果を残していかないと信頼も得られない。毎試合、結果にこだわっていきたい」と一瞬たりとも歩みを止めるつもりはない。