<欧州CL:マンチェスターU3-2ブラガ>◇1次リーグH組◇23日◇マンチェスター

 マンチェスターUの日本代表MF香川真司(23)が、W杯アジア最終予選オマーン戦(11月14日、アウェー)の出場が微妙になった。23日(日本時間24日未明)の欧州CL・ブラガ(ポルトガル)戦で、前半27分にスライディングをした際に左膝を負傷し、前半で途中交代。全治は不明だが、靱帯(じんたい)損傷の可能性もあり、数試合の欠場を余儀なくされそうだ。反撃弾をアシストするなど逆転勝利に貢献しながら、思わぬ不運に見舞われた。

 無理に笑顔を作ろうとしても、顔が引きつって、うまく笑えなかった。本拠地オールドトラフォードのスタンド下にある、レンガの壁に囲まれた取材エリア。香川は1度は立ち止まったが、消え入りそうな声で言葉をはき出すと、すぐにスタジアムを去った。膝の痛みと、悔しさ、焦り-。複雑な思いが交差した。

 「(膝は)大丈夫、大丈夫です。まあ、ちょっと痛かったですけれど。次の試合に向けて、頑張っていきたいと思います」

 アクシデントは前半27分に起きた。自陣左際で、相手ボールをスライディングで奪いに行った際、左膝をひねった。珍しく苦痛の表情を浮かべ、試合を止めるよう声を出した。その時点で、試合続行は不可能だった。それでもピッチ外で治療を受けると、すぐに戻った。足をひきずり、時折、痛みがひくように祈りながら膝に水をかけた。意地で負傷から18分間プレー。定位置を守るため必死だった。「(自分から)代えてとは言いたくなかった」…。それが23歳の本音だった。

 全治は不明だが、左膝靱帯を損傷した可能性がある。今後、チェルシーとの2連戦(28日リーグ、31日カップ戦)の出場は絶望的。11月上旬まで離脱なら、日本代表として臨む11月14日のW杯最終予選オマーン戦も微妙になってくる。ファーガソン監督は「負傷から20分近くプレーを続けたが、交代せざるをえなかった。明日の朝になってから詳しい状態を見る。現時点でどの程度の損傷かは発言できない」と説明。状態次第では精密検査を受ける方向になりそうだ。

 この日はトップ下をルーニーに譲り、ダイヤモンド型の中盤の左で先発した。負傷する直前の前半25分には、ループ気味のパスからFWエルナンデスの反撃弾をアシスト。確かな存在感は見せた。「どんどんサイドから中に入ったりしながら、動きの中で(得点に)絡んでいこうとは思っていました」。それでも選手層が厚いビッグクラブ。離脱すれば定位置獲得にも影響してくる。香川にとっては、我慢の時になる。【益子浩一】