<セリエA:ジェノア0-0インテルミラノ>◇12日◇ジェノア

 左膝半月板損傷を負っていた日本代表DF長友佑都(26=インテルミラノ)が、事実上2カ月半ぶりの実戦でフル出場し、復活をアピールした。ジェノア戦に左MFの位置で先発し、0-0のドロー。何度も接触しながらも、痛がるそぶりもなく90分間出場した。けがを再発させた4月14日のカリャリ戦では、わずか7分間の出場に終わっており、長時間のプレーは2月24日のACミラン戦以来。日本にとって、6月のW杯アジア最終予選とコンフェデ杯出場の見通しが立った。

 ヒヤリとする激突に、何もなかったように立ち上がった。試合開始直後、左サイドを果敢にドリブル突破した長友を、相手DFのタックルが襲った。負傷した左足ではない逆の右足だったが、悪夢がよみがえる衝撃。しかしピッチを2回転してすぐさま起き上がり、次のプレーに備えた。不安を抱える左膝にはテーピングをしなくても痛がることなく走り回った。ジェノアが1部残留の歓喜に酔いしれる中、チームドクターと抱き合って復帰を喜んだ。

 約1カ月ぶりの復帰戦を迎えるまで、葛藤と意地があった。4月14日のカリャリ戦で復帰したときは、左膝半月板損傷を負い、約7分間の出場で再離脱。日本に帰国して診察を受け、手術回避を決断してイタリアへ戻った。復帰には数カ月を要するが、完治のために手術を勧めるクラブ側と何度も話し合いを重ね、「痛くない」と最後まで保存療法を訴えて迎えた復帰戦。ストラマッチョーニ監督は「長友の質の高さは疑いようがない。将来インテルの基盤となる選手だ」とねぎらうほど周囲を納得させ、ピッチで証明した。

 手術回避を決断した裏には、6月のコンフェデ杯が頭にあった。ブラジル戦から始まりイタリア、メキシコと、各大陸王者との真剣勝負。来年のW杯までに自身が、そして日本代表が成長するためには、これ以上ない舞台になる。その場に立つためには、今季中の復帰が絶対条件。途中から疲れを感じさせ、後半は積極的にボールに絡む回数は減るなど、まだ万全ではないが、完全復活へ前進したのは間違いない。

 これで、コンフェデ杯前のW杯アジア最終予選オーストラリア戦(4日、埼玉)イラク戦(11日、ドーハ)招集も現実味を帯びてきた。セリエAは残り最終節のみ。W杯出場を決める大一番を前にして、長友が帰ってくる。