本田よ、ミラノで戦おう!

 日本代表DF長友佑都(26=インテルミラノ)が9日、盟友の同代表MF本田圭佑(27=CSKAモスクワ)のACミラン移籍を猛プッシュした。ともにミラノを本拠地とする宿敵で、セリエAの一大イベントとも言える「ミラノダービー」での日本人対決実現を熱望。ミラノの街並みやセリエAの状況を本田に伝えているという。長友は、チーム始動に合わせて、“一足先に”ミラノへ出発した。

 盟友が宿敵になるかもしれない。長友は、そんな状況が楽しみで仕方なかった。同学年で、代表でも頻繁に顔を向かい合わせて話す本田のビッグクラブ移籍の候補に、ミランが挙がっている。ここ数日間、日本とイタリアを股に掛けて騒がせている話題に、長友は黙っていなかった。

 「彼にミランにきてもらって、ぜひミラノダービーで戦いたい。ダービーでの日本人対決は夢でもある。Jができて20年で、ミラノダービー日本人対決ができることは、誇りに思う」

 強烈なラブコールを送るのも、無理はない。セリエAの優勝回数はともに18回と、ミラノを本拠地にするイタリアだけでなく世界を代表するビッグクラブ同士。ダービーは伝統の一戦として、シーズンのビッグイベントだ。その場に日本人が対峙(たいじ)するかもしれない。青の長友と赤の本田が。通算対戦成績はインテルミラノ98勝ミラン109勝で引き分けが73。時代を超えて続く拮抗(きっこう)の戦いに、日本人が加わる意味を、セリエAで戦う長友は分かっている。

 だから伝えられることは、本田にも伝えてある。「ミラノで2年半くらい住んでいる。街並みや、イタリア人の気質、セリエAの状況は知っている。イタリアについては話してきた。詳しい話は言えない。でも彼のメンタルなら、どこでもやれると思う」。少しでも、ミラン移籍につながればいい-。そう歓迎する一方で、すでに警戒もしている。実現すれば、宿敵として目の前に立ちはだかる。本田対策は頭の中にバッチリ描かれていた。

 「まずは圭佑を止めること。自分の能力を出すことも、周りの選手の力を引き出すこともできる。非常に怖い。(イタリア代表FW)バロテリも強力だけど、まずは彼を止めないと厳しくなる」

 代表での姿を知っているから、怖さも分かる。今から胸を高鳴らせるミラノダービー。今季の日程はまだ決まっていない。それでも、今日10日にチームに合流する長友は、大きな期待感を胸にしながらミラノへと飛び立った。【栗田成芳】