【モスクワ(ロシア)23日=八反誠】名門ACミランへの移籍交渉が難航しているCSKAモスクワの日本代表MF本田圭佑(27)が23日、移籍の現状を激白した。チーム練習はなかったが、モスクワ郊外の練習場での単独自主トレ後、日刊スポーツの取材に口を開いた。移籍間近との報道もあるが、両クラブ間の移籍金交渉が厳しい状況にあることを認めた上で「年俸を削ってまで(行く)ということはない」など、強烈な自負をにじませつつ、冷静に自らの立ち位置を語った。

 当然だが、本田はモスクワにいた。チーム練習がなく、いつもに増して静かな練習場。立ち入り禁止の室内にこもり1時間半ほど自主的に試合翌日の調整メニューをこなした。前夜のリーグ、クリリヤ戦は序盤で退場者を出し、ほとんど10人での戦いを強いられたが、2得点に絡む活躍で逆転勝利に貢献。一方、試合直前に行われたモスクワでの初のクラブ間交渉は移籍金の溝が埋まらず、わずか30分で物別れに終わっていた。この日の2回目の交渉でも妥協点を見いだせなかった。交渉は難航。試合後に報告を受けたという本田は冷静に状況を把握しこう説明した。

 「ミランとの交渉は事実ですよ。相手の姿勢は本気だと感じている。ただ、CSKAが移籍金の額を下げない限り夏の移籍は実現しないと思う。解決法は3つ。CSKAが要求額を下げるか、ミランが提示額を上げるか、俺の年俸を削って移籍金に充てるか。ただ、俺が年俸を削ってまでということはない。8月末まで試合をこなして今のこの状況を楽しみながら過ごします。CSKAが適切なオファーを断るのならば残るということですね」

 連日の交渉でCSKAは本田をこの夏に手放す条件として破格の500万ユーロ(約6億5000万円)を要求。ミランの提示は200万ユーロ(約2億6000万円)。その差は実に300万ユーロ(約3億9000万円)。CSKAの姿勢は、かたくなだ。移籍金は契約年数に応じて変動する。ミランの提示額は残り半年の選手にとって不釣り合いなものではない。現状で解決策はミランが提示額を引き上げるしかない。ミランが自らスポンサー営業をするなどして“本田資金”を捻出できれば、即まとまる可能性もある。予断は許さないが、現状はシビア。本田は冷静に行方を見守っている。