<欧州CL:マンチェスタ-U5-0レ-バ-ク-ゼン>◇1次リーグA組◇27日◇レーバークーゼン

 日本代表MF香川真司(24)が所属するA組のマンチェスターU(イングランド)は、アウェーでレーバークーゼン(ドイツ)に大勝し、2季連続の決勝トーナメント進出を決めた。香川はモイズ監督体制になって初めてトップ下でフル出場し、3点に絡んだ。

 香川の真骨頂はチーム4点目だった。相手クリアボールを拾った味方のパスをゴールを背に受けると、ワンタッチで反転。間髪入れず中に切れ込んだルーニーに、右足アウトで浮き球のパスを送った。ルーニーもワンタッチでボールをはたいて、流れるようなパス回しでスモーリングのゴールが決まった。

 モイズ監督下で初めてトップ下で先発した香川が、ピッチで躍動した。豊富な運動量とルーニーとの息の合った連係で、チームに攻撃のリズムを与えた。前半22分のバレンシアの先制点は、香川のボール奪取から、ギグス、ルーニーとパスがつながり生まれた。2点目は、香川が倒されて得たFKから生まれた。

 「(トップ下は)試合前から楽しもうと思っていたし、楽しめた。5-0で勝ったんで(得点という)結果が欲しかったですね」と、プレー内容以上に得点にこだわった。それでもモイズ監督は「チームは恐らく今シーズンのベストパフォーマンスだ。いろんなコンビを試す必要があるが、きょうのルーニーと香川はとても良かった」と、トップ下での働きを認めた。

 24日のリーグ戦は、日本代表のベルギー遠征で足を打撲したため欠場。この日の出場も心配されたが、攻撃だけではなく守備でも積極的に動き回った。1試合の走行距離12・48キロは、両チームで1番。次点に700メートル以上の大差をつけた。「運動量は自分の持ち味だと思うし、そこは意識してやりました」と胸を張る。「今季のベストゲーム」は、走りに走った香川の貢献度によるものだった。

 英メディアも、そのプレーぶりを絶賛した。デーリー・メール電子版は「今夜の試合は印象に残る背番号10の役割を果たした」と評価し、10点満点の「7」という高い点数をつけた。サンも7点。デーリー・ミラー紙は「香川はついに背番号10に値する底力を見せた」とまで評した。

 出遅れた開幕から4カ月。ようやく香川がチームの中で輝きを放ちだした。今回は、FWファンペルシーが不在で巡ってきたチャンスで存在感を示すことができた。英メディアでは冬シーズンの移籍話がくすぶっている。1つずつ、実績を積み重ね、チームでの地位を築いていくしかない。(鈴木智貴通信員)