<プレミアリーグ:マンチェスターU2-0カーディフ>◇28日◇マンチェスター

 日本代表MF香川真司(24)所属のマンチェスターUが、新加入のスペイン代表MFフアン・マタ(25)の活躍でカーディフに快勝した。トップ下で先発したマタは2点に絡み、低迷するチームを勝利に導いた。FWファンペルシーやMFルーニーも故障から復帰し、攻撃陣の定位置争いは激化する。ベンチ入りしたが、出番のなかった香川の立場はより一層苦しくなった。

 マタが本拠地オールドトラフォードで先発デビューした。低迷する現状を変えようと、クラブ史上最多の約64億円という移籍金でチェルシーから獲得した切り札が、いきなりその真価を発揮した。前半6分、長いサイドチェンジのパスから先制点が生まれた。

 マタから左に展開したボールをヤングがクロス。バレンシアのシュートがバーをたたき、ファンペルシーはシュートをGKに阻まれたが、こぼれ球を押し込んだ。後半14分には、マタからパスをもらったヤングがドリブルから2点目を奪い、試合を決定づけた。

 チェルシーではモウリーニョ監督の戦術に合わず、出番が減っていた。コンディションも100%と言えない中で、マタは結果を出した。後半39分ヤヌザイと交代する際には、ホームの観衆がスタンディングオベーション。サポーターにも受け入れられた。

 マタは「世界最高のFW2人(ファンペルシー、ルーニー)とプレーできるなんてすごい。新しい仲間とのプレーもいい感じだった」と手応えを口にした。その活躍を最も喜んだのはモイズ監督だ。「マタはすごく良かった。彼はベストチャンスを試合開始22分の中で作り出していた。私はとてもうれしく思っている」と興奮気味に話した。

 マタが加入し、故障離脱していたファンペルシーとルーニーも戻った。その余波を受けて、香川はベンチを温めるしかなかった。攻撃陣の定位置争いはさらに激化する。モイズ監督は「ポジション争いが起きる。ウェイン(ルーニー)もMFができるからね。我々には選ぶことのできるオプションがあるし、試合によって変えることができる」と歓迎したが、香川の立場はいよいよ苦しくなった。

 マタの移籍が決まると、英メディアは香川移籍の可能性が高まったと書き立てた。中盤以降が引き気味に構え、ボールを奪うとロングボールで一気に前線に攻め込むマンUのスタイルに香川は苦悩し、結果を出せないでいる。マタはデビュー戦で正確なロングパスという武器で、そのスタイルに順応してみせた。生き残りをかけて、香川も1つずつチームメートの信頼を獲得していくしかない。

 ◆フアン・マタ

 1988年4月28日、スペイン・ブルゴス県生まれ。Rマドリードの下部組織を経て、07年にバレンシアでトップデビュー。11年8月にチェルシーに移籍し、バレンシアと同じ背番号10をつける。チェルシーでは11-12年のFA杯、同シーズンの欧州CL、12-13年の欧州リーグの優勝に貢献し、昨季はチーム最多の12得点を記録した。スペイン代表では08年11月に初招集され、09年3月のW杯欧州予選トルコ戦でデビュー。頭脳明晰(めいせき)で、正確なパスとボールキープ、得点力が持ち味のMF。マドリード工科大に通い、身体運動科学とマーケティングを専攻。趣味は読書で、村上春樹の小説を愛読する。170センチ、63キロ。利き足は左。