<欧州CL:Bミュンヘン3-1マンチェスターU>◇準々決勝◇9日◇ミュンヘン

 日本代表MF香川真司(25=マンチェスターU)が欧州移籍後、初めて無冠に終わった。Bミュンヘン(ドイツ)戦にフル出場したが敗れ、2戦合計2-4で敗退が決まった。ドルトムントでブンデスリーガ連覇を果たし、昨季はプレミアリーグを制したが、今季は寂しいシーズンとなった。

 ドイツ時代も含め、出場したBミュンヘン戦5試合で負けなしだった香川の神通力も効かなかった。「強かったですけどうまく守備はできていた。点を取った後、すぐに失点してしまったのが…」。マンUは後半12分にエブラの左足シュートで先制。だが2分後にマンジュキッチのヘディングシュートで追いつかれると防戦一方となった。

 後半23分に右クロスをミュラーに押し込まれ、同31分にはロッベンにドリブルで振り切られ、ダメ押し点を決められた。へたり込むマンUの選手たちに反撃の力は残っていなかった。モイズ監督も「選手たちはよくやった。唯一の過ちは得点直後の失点。学生時代に教わるような失敗に、失望したよ」と悔しがった。

 マンUはプレミアリーグでも勝ち点57の7位と低迷。残り5試合で勝ち点74の首位リバプールを上回ることはできず、すでに連覇の可能性は消滅している。FA杯、イングランド・リーグ杯も敗退しており、ドルトムント時代から毎年タイトルを手にしてきた香川も今季は無冠となった。

 悔しさとともに課題も残った。英スカイスポーツでデヘア、ルーニーとともにチーム最高の7点の評価を受けた香川だが、後半10分のミドルシュートなど攻撃面の見どころはわずか。速攻中心の戦術にかみ合わず、相手のグアルディオラ監督が「香川はカウンター向きではない」と評したほど。香川は「自分の能力を上げる必要がある」と進化の必要性を口にした。

 モイズ監督は今季を振り返り「1年でチームを再建したい。できるだけ早くCLに戻ってきたい」。それでも来季の欧州CL出場圏、リーグ4位のアーセナルとは勝ち点7差と可能性は残されている。「コンディションはいい」という香川を中心に、残り5戦を必死で戦うしかない。(中野吉之伴通信員)