<W杯よもやま話>

 過去19回の歴史で優勝国はブラジル、ドイツ、イタリアなど、南米と欧州の8カ国だけ。アジア勢は02年地元大会の韓国がベスト4入りしたのが最高で、アフリカ勢は準決勝進出もない。勢いだけで1カ月の長丁場を乗り切ることは難しい。優勝には、あらゆる条件がそろう必要がある。

 ただ、優勝できなくてもW杯の歴史に残るチームはある。34年イタリア大会4位の「ブンダー(奇跡の)チーム」オーストリア、54年スイス大会で準優勝した「マジック・マジャール」ハンガリー、74年西ドイツ大会準優勝の「トータル・フットボール」オランダ。斬新なスタイルと圧倒的な強さで世界を驚かせた。

 82年スペイン大会のブラジルも、中盤に「黄金の4人」を配して華麗な攻撃サッカーを披露した。イタリアに敗れて2次リーグで敗退したが「史上最強」と呼ばれることも多い。中盤の4人は引退後、医者になった「ドトール」ソクラテス以外は指導者に転身。ファルカンとジーコは日本代表監督、トニーニョ・セレーゾは鹿島の監督として日本選手を育てた。W杯の歴史に残るスーパーチームは、日本サッカーの発展にも大きく貢献している。【荻島弘一】