<ブンデスリーガ:シュツットガルト3-1シャルケ>◇20日(日本時間21日)◇シュツットガルト

 シュツットガルトの日本代表DF酒井高徳(23)が、ダメ押しアシストを決めた。ホームでのシャルケ戦に左サイドバックとして先発。2-0で迎えた後半14分、左サイドから中へ鋭く切れ込み、左クロスで3点目をお膳立て。残留争いをするチームに貴重な勝ち点3をもたらした。強豪相手にドイツでの成長を披露し、W杯本番での定位置争いに、番狂わせを予感させた。

 視線とは裏腹に、ボールを前へ運んだ。左サイドでスルーパスを受けた酒井高は、1度は中央を凝視。クロスをにおわせて、ドリブルでDFを置き去りにした。ゴールラインギリギリで再びゴール前を見て照準を合わせた。後方からきたMFハルニクにマイナス方向のクロス。個人技で相手をしのぎ、最後は仲間へ好アシストを送った。今季初めて絡んだゴールは、猛攻を仕掛けるシャルケの心に、痛烈にくさびを打った。

 「かわしたのは狙い通り。ドリブルで持ち込んで落ち着いてゴールに絡めたのはよかった」。ただアシスト以上に光ったのは対人での守備だった。1対1の場面で負けたシーンはゼロ。縦への突破を許さず、守備でも存在感が際立った訳は、3月に今季2度目の交代劇で就任したステフェンス監督の練習にあった。

 「監督が代わって球際に強くいくように徹底している。1対1で負けないよう、練習の中で必ずやる。もうバチバチですよ。練習ではファウルをとらないので、もうバチバチバチバチ。そういうのが試合に生きている。つかみ合いになったりもするし。僕はつかまないけど。でも激しくいって、知らんぷりする。バチッと行って『知らん』って。そういうところはドイツ来て学びましたね」

 日常的に戦うシーンがあるから、試合でも発揮できる。一方「知らんぷり」で、危険な状況をくぐり抜けるすべを身につけたのは、ドイツに渡って2年半という時間があったからだ。J1新潟に所属した4年前、10年W杯南アフリカ大会はバックアップメンバーとして代表に同行。6月のブラジル大会では負傷中のDF内田に代わっての抜てきも十分あるが「まずは(23人の)メンバーに選ばれること」。いつ呼ばれても、いつピッチに立ってもいいように、成長を続ける。【栗田成芳、中野吉之伴通信員】