<オラ通信員便り>

 ドイツの人は自分たちの生まれ育った街を大切にする。それはドイツ代表ヨアヒム・レーウ監督(54)も同じだ。今でもフライブルク近郊に家を持ち、ブンデスリーガの他のカードに代表選手がたくさん出場するような場合でも、わざわざフライブルクの試合を観戦に訪れることもある。フライブルクのゴールを喜び、相手チームのファンからひんしゅくを買うこともあった。

 そういう私もフライブルク在住。レーウ監督は、中央駅から街に向かって少し歩いたところにある立ち飲みカフェがお気に入りで、友人と談笑しながらコーヒーカップを傾ける姿をよく見かける。「代表監督なんだからサッカー協会本部のあるフランクフルトに引っ越してきたらどうか」という声があったときも、「この立ち飲みカフェが一緒に移転するなら」と言ったとか言わなかったとか。結局レーウ監督は今でもフライブルクを拠点に動いている。

 こうなったらせっかくなのでW杯にもフライブルクの選手を連れていって欲しい。ドルトムントが獲得を熱望しているマティアス・ギンター(19)は守備的なポジションならどこでもこなせる将来有望な万能選手。守備に難を抱える代表にとっても必要なオプションになるはずだ。(ドイツ・中野吉之伴通信員)