<ブンデスリーガ:マインツ2-0ニュルンベルク>◇26日◇マインツ

 頭で金字塔を打ち立てた!

 マインツの日本代表FW岡崎慎司(28)がニュルンベルク戦で先制ゴールを決めた。前半30分、味方のFKを得意のヘディングで合わせ、今季14点目。主な欧州1部リーグでのシーズンゴール数で、香川真司を抜き、日本人単独トップに躍り出た。6月のW杯ブラジル大会へ向け、弾みのつく好記録が誕生した。

 快挙は、岡崎の代名詞とも言えるヘディングで達成した。0-0で迎えた前半30分、左サイドからのDFガイスのFK。大きな山なりのボールは、ペナルティーエリア内の岡崎の頭部に目がけて落ちていく。岡崎は相手DF2人に挟まれながら、身をかがめて額の部分でジャストミート。首を鋭く振って、勢いを増したボールはワンバウンドし、ゴール左隅に突き刺さった。

 主な欧州1部リーグでの通算14得点は、2季前にドルトムントで達成したMF香川を抜き、日本歴代単独トップ。高原直泰や中田英寿ら大先輩も届かなかった記録を打ち立てた。岡崎はそのまま右サイドのライン際に移動しながら、両腕を上げて、笑顔でガッツポーズを連発した。その5分後にも、右クロスを再びヘディングシュート。枠はとらえられなかったが、研ぎ澄まされた得点への嗅覚を発揮した。

 前節19日ドルトムント戦で2ゴール。新記録樹立に王手をかけ、自信を深めていた。「とりあえず、あと1点取ったら何か残ると思うんで。自分がヨーロッパでやってた記録というかね。ここまできたら取りにいきたいなと思います。それがチームの勝利に貢献できるんで」。約1カ月前、2桁10得点に届いた際には「ここからは積み重ねていくだけかなって感じ。それまではやっぱりなんとなく自信がないというか、ああ取れてねぇなあ、みたいな感じに思うけど、今は取れてるから」と余裕の表情さえ浮かべていた。

 日本代表としては3月のニュージーランド戦で2得点。通算38得点は原博実(日本協会専務理事)を抜き、歴代3位となった。あとは1位75得点の釜本邦茂、2位55得点の三浦知良(横浜FC)と2人のレジェンドが待っている。5月12日にはW杯最終メンバーが発表され、W杯ブラジル大会でも点取り屋として期待されるだろう。今月16日に28歳となったばかりの若い岡崎は、代表でも新記録更新の夢を含んでいる。

 この日は、同じ日本代表のニュルンベルクMF清武とのマッチアップで競り勝つ場面もあった。相手ベンチには、故障からの復帰を目指すMF長谷部の姿もあった。約2カ月後には、ともに日の丸を背負って戦うことになる仲間たちの前での偉業の達成。欧州リーグ出場権を争う状況に「次のニュルンベルクに勝てれば大きいっすね。ニュルンベルクを落として…」と不敵な笑みを浮かべていたが、宣言通りの一撃となった。【鈴木智貴通信員】

 ◆岡崎慎司(おかざき・しんじ)1986年(昭61)4月16日、兵庫・宝塚市生まれ。滝川二高から05年に清水に入団。08年に北京五輪出場し、同9月にA代表に初選出。10年W杯南ア大会に出場し、1次リーグのデンマーク戦で1得点を挙げた。11年1月にブンデスリーガ1部シュツットガルト、13年6月にマインツに移籍。174センチ、76キロ。