<セリエA:ローマ2-0ACミラン>◇25日◇ローマ

 左足首を痛めていたACミランの日本代表MF本田圭佑(27)が、ローマ戦で3試合ぶりに復帰した。先発し、80分間プレーしたが完敗。来季欧州リーグ(L)出場権争いで、痛い1敗を喫した。翌26日付のイタリア主要スポーツ3紙の採点すべてが4・5と落第評価。寸評でも「置物」などと徹底して酷評された。

 復帰した本田を待っていたのは、もはや定番ともいえる酷評のオンパレードだった。左足首捻挫が癒え3試合ぶりの実戦。2日前にようやくチーム練習に完全合流したばかりでも、当然のように定位置の2列目右で先発起用された。

 ただ、相手が悪かった。5連勝中のミランに対しローマは8連勝中。勢いとチーム力の差がそのまま出て完敗。無言で帰った本田は可もなく不可もなくといったプレーぶりだったが、来季欧州L出場権(5位以内)が遠ざかる1敗に、地元メディアは黙っていなかった。

 ガゼッタ・デロ・スポルトは「価値あるバイクの名前だけでチームにガソリンを供給し、自身のプレーを活発にすることはできなかった。カミカゼが3輪車に乗って堅固な戦艦に向かっていくようなもの。日いづる国は何と早く没してしまうのか」。もはや芸術的ともいえる文体でこき下ろした。一般紙のラ・レプブリカは「ぶらぶらする東洋の置物にすぎない」とした。

 これまで「火星人」「カリメロ」など寸評で本田をやゆする表現はいくつもあった。ここに「3輪車に乗ったカミカゼ」「置物」が加わった。ここまでくれば不名誉どころか、愛されているのでは?

 とさえ思えてくる。

 大事なW杯ブラジル大会が迫る中、故障からしっかり復帰できた点は日本にとって明るい材料。次節5月4日のインテルミラノDF長友との「ミラノダービー」にも間に合った。

 4月中旬の日刊スポーツのインタビューでは、現地の厳しい報道について「楽しんでます。ただ、気持ちいいものではないですね。それだけは伝えておきます(笑い)」と答えた。ミラノダービーはローマ戦以上の注目度。その中で、長友と初めてのガチンコ勝負が実現する。【波平千種通信員】