<国際チャンピオンズ杯:マンチェスターU3-2ローマ>◇1次リーグA組◇26日(日本時間27日)◇デンバー

 マンチェスターUの日本代表FW香川真司(25)がいきなり苦境に立たされている。欧州クラブによる国際チャンピオンズ杯の初戦、ローマ戦に後半開始からボランチで途中出場。慣れない位置で見せ場も作れず、立場は危ういままだ。試合はルーニーの2得点などで勝った。

 表情もプレーもさえなかった。香川はそれでも前を向こうとしていた。厳しい生存競争は、世界一ともいえるクラブに所属する宿命とはいえ、痛々しいほどだった。ポジションはボランチ。「今のところ、そこ以外は特にやっていないので…。まだまだ慣れていない感じは多少ありますけど、与えられたポジションでやることをやっていきたい」と言った。自らを納得させるような口ぶりだった。

 給水タイムが設けられた暑いデンバーでルーニー、マタらは前半でお役御免となった。後半、一気に9人が交代する中でピッチへ。21分にはサイドチェンジを狙ったパスを相手にカットされた。30分、こぼれ球を中央で受け1人かわしたが、シュートは力のないものになった。

 23日にロサンゼルスで行われたMLSギャラクシーとの親善試合から2試合連続でボランチで途中出場し、ともに見せ場なしに終わった。アピール不足といえばそうだが、この位置でアピールしろというのも酷な話。W杯でオランダを3位に導いたファンハール監督の意図を「中盤でボール受けて展開していくところであったり、前に出ていくことが求められているんじゃないかなと思います」と説明。香川なりにかみ砕いてトライしているが、スッキリしない。

 持ち場の前線は飽和状態。ルーニーとマタがいて、休暇を終えたファンペルシーも合流してくる。若いヤヌザイもいる。状況は厳しくなる一方だ。もともとC大阪でプロデビューした当時はボランチ。この日も「チャレンジ」という言葉を何度か使った。新境地を切り開きプレーの幅を広げるいい機会となる可能性もある。ただ、現状は“窓際”に追いやられているとしか思えない。果たして、マンUに香川が輝ける場所はあるのだろうか…。【八反誠】