<ドイツ杯:ヘルタ4-2ビクトリア・ケルン>◇1回戦◇16日◇ケルン

 ヘルタFW原口元気(23)が公式戦デビューをゴールで飾り、23日のブンデスリーガ開幕に向け、上げ潮ムードだ。ドイツ杯1回戦で原口とMF細貝萌(28)が所属するヘルタは、アウェーでビクトリア・ケルン(4部)に勝利。原口は後半6分の得点を含め2点に絡む活躍にも「次はもっといい内容を見せたい」と、開幕ブレーメン戦でのゴールも誓った。

 ヘルタの背番号24「HARAGUCHI」が、確かな1歩を踏み出した。後半6分、スルーパスから抜け出し、角度のない位置から右足で初得点を挙げた。「負けられないプレッシャーもあって少し緊張したけど、デビュー戦で結果を残せたことは良かった」と安堵(あんど)の表情だった。

 練習試合で結果を残して、先発の座をつかんだ。攻撃の要としてチームに不可欠な存在となっており、攻撃面でルフカイ監督からの指示はない。「やりやすさはある。せっかく自由を与えてもらっているので、毎試合、得点に絡む動きをしたい」。期待を感じるからこそ言葉にも力が入る。

 攻守に見せ場をつくった。後半9分には自陣深くまで戻ってスライディングでボールをカットした。そして同31分には深い芝に足を取られて転倒したが、尻もちをつきながら放ったシュートが左ポストを直撃。こぼれ球を味方が押し込み追加点になった。「最後まで諦めずにシュートするのも自分の持ち味。最低限の守備はやらないといけないし、勝つために攻撃と守備両方で貢献したい」と、新天地にかける思いは格別だ。

 日本から持ち込んだのはスーツケース1個だけ。クラブが用意する予定の通訳もいないままだ。そんな中、MF細貝のサポートを受け「ミーティングもドイツ語なので、訳してくれて助かっている。頼っている部分が大きいので、早く独り立ちしたい」。そんな言葉の壁も、自らのプレーを示すことで乗り越えている。試合後にはチームメートとの笑顔の写真をツイッターに投稿。コミュニケーション面の不安もない。

 「相手も1ランク、レベルが上がる。まだ自分のプレーに納得していない部分が多いので、次はもっといい内容を見せたい。結果を残せるように準備したい」。開幕ブレーメン戦へ、高ぶる気持ちを抑えられなかった。【ケルン(ドイツ)鈴木智貴通信員】