<セリエA:ACミラン3-1ラツィオ>◇8月31日(日本時間9月1日)◇ミラノ

 ACミランの日本代表FW本田圭佑(28)がラツィオとの開幕戦でいきなりゴールを決めた。3トップの右ウイングでスタメン出場。前半7分にイタリア代表FWエルシャーラウィのパスを右足で蹴り込んだ。昨季からのセリエA通算2得点目が、大きな大きな先制点。幸先よいスタートを切った。

 本田がセリエA開幕戦でいきなりゴールを決めた。前半7分。左サイドをドリブル突破するイタリア代表の快足FWエルシャーラウィを追い、中央右をトップスピードで駆け上がった。エルシャーラウィが右足アウトサイドで中央へグラウンダーのパス。難しいボールに追い付くと、思い切り良く利き足ではない右足を振り切った。うまくヒットさせ相手GKの股を抜きゴールにねじ込んだ。

 本拠地サンシーロ・スタジアムを熱狂させた背番号10はCKスポット近くで仁王立ちした。厳しい戦いの場で生き残るには結果を出すしかない。ゴールという結果に興奮していた。獣(けもの)のような表情でほえた。

 「優勝」を公言して臨んだW杯ブラジル大会で日本は3戦で1勝もできず1分け2敗。新シーズン開幕に向け戻ったミランでも激しい定位置争いが待っていた。インザギ新監督から与えられたのは、慣れない右ウイング。スピードではライバルに劣るとみられたが、攻守によく走り、プレシーズンマッチ3試合連続ゴールなどで猛アピール。開幕スタメンを勝ち取って臨んだ一戦だった。

 W杯後は日本に戻らず、欧州と米国に滞在した。特に、アメリカンドリームの国の新鮮な空気を吸って気持ちを新たにした。与えられた約1カ月間の休暇は、ほとんどボールに触れなかった。これだけサッカーから離れたのは、プロになって初めて。

 米国内のいろいろな都市を訪れる中で、ふとサッカーがしたくなったという。街のスポーツ店のボールを買って空き地で蹴った。W杯で敗退直後に目を真っ赤にして言っていた。「少なくとも明日からもサッカーできるチャンスがあるというのは、すごい幸せなことだし、本当にサッカーに感謝しないといけない」。

 相手のラツィオはかつて本田獲得を狙い、移籍成立寸前で破談になった縁のある相手だった。明日2日に予定される日本代表合宿合流を前に、主戦場のセリエAで最高のスタートを切った。

 ◆本田の右足ゴール

 海外移籍後、欧州1部で初めて右足で決めた試合は、CSKAモスクワ時代の12年10月7日の敵地スパルタク・モスクワ戦。1-0の後半7分に右足で決めた。今回のラツィオ戦のゴールはそれ以来2発目。<本田のリーグ開幕戦ゴール>

 ▼名古屋(日本=05~07年)

 J1で3年間プレーした。開幕戦ゴールはプロ3年目の07年千葉戦で挙げた。利き足ではない右足で押し込んだ。

 ▼VVV(オランダ=07-08~09-10年)

 1部に昇格した09-10年の開幕戦で強豪PSV相手にゴールを決めた。左CKを左足ボレーでたたき込んだ。

 ▼CSKAモスクワ(ロシア=10~13-14年)

 10年3月12日のアムカルとの開幕戦で、0-0の後半ロスタイムにねじ込み、いきなりゴールを決めて華々しいデビューを飾った。