<セリエA:ベローナ1-3ACミラン>◇19日◇ベローナ

 ACミランの日本代表FW本田圭佑(28)が、ベローナ戦(アウェー)でセリエA初の1試合2得点を記録した。前半27分と後半11分に左足で流し込んだ。2試合連続弾で、これで開幕から7戦6発。超ハイペースで得点を重ねている。今季2点目を決めた9月14日のパルマ戦に続き、日本代表から所属クラブに戻ってすぐの試合で再びゴールを記録した。

 1点目には落ち着き払っていて喜ばなかった本田も、2点目を決め、表情を崩した。笑顔を見せ素直に仲間の祝福を受けた。ベンチ前ではインザギ監督が大喜び。指揮官の信頼にこたえ、今季は全試合に先発出場しチーム単独トップの7戦6発。この時点でリーグ得点ランクも首位テベス(ユベントス)に並んだ。

 試合後は取材に応じ「ホッとしている。代表では結果を出せなかった。ジャマイカ戦では勝てたが、ブラジル戦は満足がいくような内容も結果も得られなかった。ここ(アウェーのベローナ戦)では長いこと勝ててないと聞いた。それを自分のゴールで勝てたので、本当にうれしい」と言った。

 ゴール前の絶好機でも慌てなかった。1-0の前半27分。仕事場の右サイドをスルスルと攻め上がり、左FWエルシャーラウィからの長いスルーパスを左足で柔らかく流し込んだ。2-0から生まれた後半の2点目は、自陣からDFラミが出した長いパスに抜け出し、絶妙の間合いで再び左足で決めた。

 ともにフリーで決めた得点だった。10日ジャマイカ戦では、ループシュートを狙い外した。「今日は空いているところに素直に蹴った。あまり考え過ぎずに、前回の反省が生かされたかなと思う」。舞台は違うが、すぐにやり返した。公式戦での1試合2発は、CSKAモスクワに所属していた13年7月13日のロシアスーパー杯ゼニト戦以来だった。

 W杯ブラジル大会で1勝もできず世界の壁にはね返された。途中出場だった14日のブラジル戦でも0-4の大敗の中、何もできなかった。ミランと同じ右のFWを任せられているアギーレジャパンでは「前で脅威になれるように」とFWで生きる道を模索中。ブラジルに惨敗後「上には上がいる。それを知るたびに、自分はもっと上に行きたくなる」と奮い立って、ミランに戻っていった。

 15日にシンガポールからミラノに戻ると、空港から練習場ミラネッロへ直行し、この試合に備えた。ミランの今季総得点は16点で、本田は6ゴール2アシスト。ゴールの2分の1が本田からという計算だ。名門クラブで2シーズン目。シーズン途中加入で14戦1得点だった昨季とは別人のような本田が、また決めた。【波平千種通信員】

 ◆本田のシーズン得点ペース

 セリエA7試合で6得点。同リーグはシーズン38試合で、このペースで得点を重ねると32点に達する。昨季はトリノFWインモビレ(現ドルトムント)が22ゴールで得点王に輝いており得点王も狙える?

 日本人の欧州主要リーグのシーズン最多得点は昨季の岡崎慎司の15点で、この記録更新も視界に入る。ちなみに岡崎は今季も好調でチームが8試合を消化し5ゴール。こちらはシーズン21点ペース。