<ドイツ杯:ザンクトパウリ0-3ドルトムント>◇2回戦◇28日◇ハンブルク

 ドルトムントの日本代表MF香川真司(25)が復調へののろしを上げた。ザンクトパウリ(2部)を相手に、約1カ月半ぶりの公式戦ゴールを含む1得点1アシストの活躍で、3-0の完勝に貢献した。ベンチ入りした丸岡満は出場しなかった。FW大迫勇也とMF長沢和輝のケルンは、PK戦の末にデュイスブルク(3部)に勝利。先発した長沢は後半12分までプレーし、大迫は出番がなかった。MF細貝萌とFW原口元気のヘルタ、MF清武弘嗣、DF酒井宏樹のハノーバー、MF田坂祐介のボーフム(2部)、MF山田大記のカールスルーエ(2部)は敗退した。

 ゴールを決めた香川は、満面の笑みを浮かべてジャンプ。ボクサーのショートフックのように、右の拳を回した。「勝つことと、中身をしっかり手に入れたかったんで良かった」。渇望していた「結果」を手にし、納得の表情だった。

 再デビュー戦となった9月13日のブンデスリーガ・フライブルク戦でゴールを決めて以来、得点から遠ざかっていた。それでも冷静に「狙っていた」。後半41分。相手GKのクリアボールをカット。絶妙なトラップで足元に止めると、1対1となったGKを見切ってゴール右へ流し込んだ。「やっぱり点を取りたかった。集中力というか、難しいトラップでしたけど。すごく落ち着いてましたし、フィーリングは良かった」。自画自賛の1点だった。

 ドルトムントはここ数年で最大の危機にある。リーグ戦は9節を終え、2勝1分け6敗でまさかの15位。救世主として古巣に戻った香川もフライブルク戦以来、公式戦出場9試合で1ゴール、2アシストと期待を裏切ってきた。それでも「心配はしてない」という。

 次戦は11月1日のリーグ、Bミュンヘン戦。「悪い流れを断ち切る手ごたえを感じている。結果を残し続けることが一番の自信回復になる」。そう話す香川が課題に挙げたのはチームのハードワーク。「我慢する時間は絶対増える。(ボールを)取った後の質だったり、そこがしっかりできれば、前に速く行く攻撃が生きてくる」。王者との大一番へ、言葉に力を込めた。【鈴木智貴通信員】