<欧州CL:ドルトムント1-1アンデルレヒト>◇1次リーグD組◇9日◇ドルトムント

 ドルトムント(ドイツ)の日本代表MF香川真司(25)が苦悩する胸中を吐露した。アンデルレヒト(ベルギー)戦に先発したが、ミスを重ねて無得点で後半39分にピッチを去った。チームは引き分けでD組1位で決勝トーナメント進出を決めたが、香川は本調子には程遠い内容。「こんなに厳しい状況になるとは想像していなかった」と漏らした。

 香川にとって、思い通りにプレーできたのは数えるほどだった。トップ下で公式戦2戦ぶりに先発。前半からミスを連発した。11分、34分と自らのパスを奪われて、決定的なピンチをつくられた。ハーフタイムには「後半は取り返す意味でも積極的に入ろう」と気持ちを切り替えたが、悪い流れは振り払えなかった。

 後半13分の先制の場面では、センターサークル付近で後方からのパスを受け、ターンで相手をかわし、左側を上がってきたMFシャヒンにパス。FWインモビレの先制点の起点になった。だが良かった場面はこのプレーを含めて数回。本調子には程遠かった。

 マンチェスターUから3季ぶりに復帰して、ここまで得点はリーグ戦とドイツ杯で1点ずつ。5日のリーグ戦では出番がなかった。「精神的にメンタルの波があったりして厳しい状況ですけど、これを乗り越えた時に、成長したと言えるんじゃないかなと思う。こんなに厳しい状況になるとは想像してなかった。自分は試されている。ここで投げ出したら落ちる一方やと思ってるんで、結果を残せるように頑張りたい」。自らを奮い立たせるように言い聞かせた。

 地元メディアからの評価は厳しさを増している。デアベステン紙(電子版)は4・5(1~6で1が最高)の低評価をつけ、「ベストプレーは前半4分。ワンタッチでインモビレにスルーパスを通した場面。それ以外は記憶に残らず」と辛口なコメント。一方で香川と同じトップ下での起用も多いMFギュンドガンは2・5と高評価。香川は定位置確保もままならない状況にいる。

 前回ドルトムントでプレーした10~12年の2シーズンで、リーグ戦49試合に出場し、21ゴールを挙げた。今季は11試合で1得点。フィニッシュの精度不足や、周囲との関係性など不調の要因はさまざまだが「昔のイメージを少なからず引きずっている。でも忘れる必要がある。選手も違うし、自分が早く順応しなきゃいけない」という。その上で、報道陣とのやりとりを「まあ、これからじゃないですか、ね?」と締めくくった香川。そこには反撃への意気込みが込められていた。【鈴木智貴通信員】