<欧州CL:マリボル0-1シャルケ>◇1次リーグG組◇10日◇マリボル

 シャルケの日本代表DF内田篤人(26)が、攻守にわたる活躍で勝利に貢献し、16強入りを決めた。マリボル戦にフル出場。2回連続のシュートブロックで失点を回避すると、後半17分には正確なパスから決勝点が生まれた。シャルケはG組2位で3季連続の決勝トーナメント進出。FW田中順也(27)のスポルティング(ポルトガル)はチェルシーに敗れ、同組3位で突破できなかった。田中はベンチ外だった。

 試合終了の笛が響く。ピッチを歩きながら、ようやく内田の表情が和らいだ。攻守両面で「ウッチー」が強い印象を残した。

 0-0で迎えた前半22分の相手左CKの際は、ゴールラインの上、右ポスト横に立った。1本目のヘディングシュートは両膝を合わせてはじき、すぐさま目の前から放たれた2本目のシュートは、倒れ込みながら右足でブロックし、CKへと逃れた。ホームで今大会無敗を誇る相手の先制機を防ぎ、あおむけになると、仲間が駆け寄った。「ほんと奇跡。前にこぼれて、足を出したら当たった。入らなくて良かった」。

 後半17分には右サイドから縦パスを送り、決勝点へとつながった。パスを受けたMFヘガーのクロスを相手GKがはじき、こぼれ球をMFマイヤーが落ち着いてゴール正面に決めた。その後はしっかりとゲームコントロールし、無失点に抑えた。11日付のデアベステン紙(電子版)の採点では、2・5(1~6で1が最高)と高得点。「22分のシーンでは好プレー!

 何度も上下動を繰り返し、多くのプレーに絡んだ。マイヤーと並び素晴らしい出来だった」と称賛された。

 右膝には、まだ青いテーピングががっちり。フィジカル面は不安を抱えるが、精神面での成長は実感する。決勝T進出には勝利と、同組のもう1試合、スポルティングがチェルシーに敗れることが条件だった。ハーフタイム、監督はスポルティングの途中経過を明かさなかったが、内田は若手選手に聞いた。「ハーフタイムにこっそり聞いたけどね(笑い)。聞いたら、2-0って。ほう、みたいな」。高卒で入団した鹿島時代は相手のスコアを聞かずに臨んでいたが、ベテランのMF小笠原は聞いていたという。途中経過を知っても浮足立つことはない。「やっと満男さんの領域に、俺も片足ちょっと」と笑顔で答えた。

 シャルケは内田が加入して以来、5シーズンで欧州CLに4度出場して、すべて1次リーグ突破した。週に2試合をこなし続ける過密日程もお手の物だ。「ぎりぎりの試合で、チームが強くなる。行けることに意味がある」。その言葉は、自信に満ちあふれていた。【中野吉之伴通信員】