[ 2014年2月7日9時36分

 紙面から ]ソチ空港で韓国メディアに囲まれ移動する浅田(撮影・井上学)

 ソチ五輪フィギュアスケート代表の浅田真央(23=中京大)が技術面、精神面の両面で、現地到着早々に4年間の成長を示した。

 会場の「アイスベルグ・パレス」で6日に臨んだ初練習。浅田も「すごく完璧でした!」と振り返る会心のトリプルアクセル(3回転半ジャンプ)を、練習での1本目に決めた。いきなりの成功に、青を基調にしたスタンドにいたボランティアから拍手が起きた。

 午後の練習リンクで、「完璧度」は増した。3回転半を3連続で成功。連続3回転まで決めた。4年前とはスピードも躍動感も違う。そして心境も。「バンクーバーでは、テンションが上がるのを頑張って抑えていた。今回はそういう感情がなく落ち着いている」。だから「中京大にまったく違わない氷」という12年12月のGPファイナル以来のリンクでも平静だった。

 前夜の空港でも4年前とは違う自分がいた。「多くのメディアがいるのは覚悟してきた」。到着ゲート前に100人以上の報道陣。金妍児の好敵手を目当てにする韓国メディアが、半数以上だった。登場した浅田に一気に人がなだれ込む。混乱の中、本人は「危ないですよ」「ゆっくり歩きますよ」と笑みを絶やさない。取材の第一声も「大丈夫です」と冷静だった。

 もともと、人一倍礼儀正しい。質問者に必ず正対して答えるのは「そうしないと失礼」と考えるから。360度を記者に囲まれて、質問ごとに体を回転させ答えたこともあった。異様な雰囲気の空港でも、嫌な顔は見せず、いつも通り真摯(しんし)に対応した。

 フリーでは3回転半を2本から1本にし、6種類すべての3回転を決める五輪史上初の快挙に挑む。「葛藤はありましたが、自分への挑戦」ともう迷いはない。「バンクーバーの時より少しでも楽しめたらいい」。そんな言葉を口にできることが、この4年間の蓄積だった。【阿部健吾】

 ◆浅田の日程

 8日の団体戦女子ショートプログラム(SP)に起用されることが濃厚。団体戦が終了する9日以降に1度ソチを離れ、「日本専用リンク」があるアルメニアに移動して調整する。19日の個人戦女子SPに合わせ、数日前に再びソチに入る予定だ。