[ 2014年2月8日9時32分

 紙面から ]6日、モーグル予選前の練習で負傷した伊藤(AP)

 モーグルの神様は残酷だった。昨年12月7日の右膝前十字靱帯(じんたい)損傷から63日目。復帰戦へ歩みを進めていた伊藤みき(26=北野建設)を待ち受けていたのは、五輪欠場だった。日本オリンピック委員会(JOC)が7日、「痛めていた右膝のけがを再受傷したため、競技続行は不可能と判断し、棄権欠場することとなりました。日本代表選手団本部が本人の意向を踏まえて総合的に判断したものです」と発表した。

 予選1回目が始まる約10分前。ゴールエリアに「誰か来てください!」という涙の叫び声が響いた。直前の公式練習で第2エアのバックフリップの着地後。以前から警戒していた、膝が内側に入り、過剰な力がかかる「ニーイン」の状態になり、再び痛めた。駆け付けた2人のトレーナーに両脇を抱えられ、救護室へ。そのまま救急車で選手村へ引き揚げた。その後は気丈に振る舞い、ベッドに横になったまま右膝を冷やしていたという。

 ロシアでは病院に行かず、帰国後に精密検査を受ける予定。小林コーチは「彼女の強い思いに協力してサポートをしてきた。試合で滑れたら、一番良かった」と話した。