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ででん、でん。日本一の営業マンを目指して本日も東奔西走しておりますのは、ハイそうです、おなじみの日刊くんでございます。ずっと走り回っていた甲斐あって、というところですかな、近頃は周囲からの信頼も少しずつ集まり、社会人としての自信もついてきたようでございます。「男子三日会わざれば刮目して見よ」なんてなコトを申しますが、いやはやその通りでございますなぁ。なんだか最近は顔つきも凛々しくなったような……気がしなくもありませんネ。
さてさて、日に日に成長をみせる社会人1年生の日刊くん。ここらで親孝行をば、と御父上を旅行に連れて行く腹積もりのようでございます。温泉旅行あたりが妥当なとこかな、なんて高をくくっておったようですが、なんと御父上の希望はワールドシリーズ観戦ってんだからさあタイヘン。アメリカってことになるとこりゃフトコロの一大事。えーい、こうなったら温泉連れてって「これがほんとのニューヨーク」なんてなコト、に、は……いきませんか。そりゃそうだネ……。さあて、どうする日刊くん!? でですでん。どでん。
親孝行営業マン
日本一の営業マン目指して、今日も東奔西走の日刊くんでございます。いやはや、営業マンとは体力のいる仕事なんですなぁ。
てって言ってるそばから公園で立ち止まって、何かを眺めております……おや、小さい男の子とその父親がキャッチボールに興じておりますヨ。今も昔も親子のキャッチボールとは、なんとも心温まるもんですなぁ。ボールが描く放物線は、親子の心の架け橋だーっなんつってネ。いやぁ名ナレーション……え? パクリじゃありませんヨ、あしからず……。
日刊くん:「小さい頃、こんな風にオレも親父とキャッチボールしたっけ……」
親父の背中が…
絶対に敵わないと思いつつ、ワケも分からず父親に反抗した中学時代……。いつの間にか親父の背を追い越していた高校時代……。あんなに強かった親父が、いつの間にか還暦を迎えて……その背中がとても小さく、寂しそうに見えた大学時代……。うん、わかるぞ日刊くん。男は父親から哀しみを教わり、そうして大人になるんだね……、ぐすん。懐かしさにふと閉じたその瞼のうらには亡き父の姿が……。生きているうちに男同士の酒を酌み交わしたかった……嗚呼、お父さんっ! ……え? 亡くなってない? まだピンピン生きてるとな? あいやー、これはアタシの早合点。失敬、シッケイ。
日刊くん:「親父も今年で定年退職か……。考えてみりゃ、還暦のお祝いもしなかったし、親孝行らしいことを今まで何一つやったことないなぁ……」
温泉のつもりで
ここはひとつ、旅行にでも連れてって親孝行をしよう、ってなことで早速、父親に電話を掛ける日刊くんであります。「親孝行したいときに親はなし」なんてなコトも言いますからな。立派だぞ、日刊くん! ……しかしさすがは日刊くんの御父上、只者ではなさそうですぞ……
親父:「旅行とな……ありがとう。そのキモチだけで充分じゃよ、わが息子よ」
日刊くん:「まあそう言わず、せっかくの機会だからさ。どうだい、ノンビリと温泉でも……」
親父:「キモチだけ受け取っておこう。いくらなんでもアメリカなんて遠いところ、老体には無理じゃ」
日刊くん:「……ん? アメリカ?」
親父:「『サプライズ』とか言うんじゃろ、温泉に行く振りをしておきながらワールドシリーズ観戦に連れてって驚かせようと考えとるかも知れんが、いやいやムリムリ、無理じゃよ。こんな老いぼれにはアメリカは無理じゃ」
日刊くん:「ワールド……? 観戦……?」
親父:「いやいやいやムリムリムリ。しつこいぞ我が息子よ。いくらワシが死ぬ前に一度でいいからワールドシリーズを観戦するのが夢だとはいえ、いくらなんでも唐突すぎるじゃろ。いくらワシがダイスケの大大大ファンじゃからっていきなりアメリカは無理じゃ。パスポートも用意しなきゃならんじゃないか。この歳でいきなりアメリカに行くなんて無理じゃと言うのに。ムリムリ、無理じゃよ。いやあ、弱ったのぉ!」
日刊くん:「……あの、温泉に……」
深夜のデスクで
深夜のオフィス。ポツネンと一人、パソコンに向かう日刊くんでございます。こんな遅い時間まで仕事……ではなく、突然のワールドシリーズ観戦旅行の計画に大忙し。しかし、例によってお金が無くて困っているようですが……お、頭の上に「ピコーン」ときてますヨ。どうやら「ネット・デ・完結くん」が24時間対応だってこと、気づいたのかな? 勘が良くなったじゃないか……でも日刊くん、だからって深夜に思いつきソングを熱唱しなくても良いんだヨ……
日刊くん:「こんな時間でもOKだなんて……。オー完結くんベイベェ~、夜更かしだねオールナイロ~~ン、キミとホーミタイ~、とぅるる~」
機内での猛特訓
さてさて、何はともあれフライト当日でございます。出発前からユニホームを着込んで準備万端の御父上、まるで遠足に行く園児のようにはしゃいでおりますヨ。こんなに喜んでもらえると、孝行のし甲斐があるってもんだネ。
親父:「おい、ダイスケ」
日刊くん:「……いや、ボクの名前はコムだけど……」
親父:「お前を呼んだわけじゃない。練習だ」
日刊くん:「練習……?」
親父:「ダイスケにサインを貰う練習だ」
日刊くん:「サイン……」
親父:「ダイスケ、サインしてくれよ……。ダイスケ、貴様のサインが必要なんだ! ダイちゃん、サインちょーだいっ。うーん、どれが良いかなぁ……」
日刊くん:「……」
酔っぱらい発言
大歓声に湧き上がる超満員のスタジアム。メジャーリーガーたちの大迫力のプレーとビールに酔いしれて、熱気が熱気を呼ぶ年に一度のお祭り騒ぎでございます。御父上も赤い顔して。楽しんでくれているようで、ヨカッタヨカッタ。
親父:「いやー、まさか生きているうちにワールドシリーズ観戦に来られるなんてなぁ。本当にありがとう、わが息子よ」
日刊くん:「喜んでもらえて、良かったよ」
親父:「いい冥土の土産になったわい……これでいつ死んでも悔いはない……」
日刊くん:「オヤジ……そう言わず長生きしてくれよ」
親父:「……ナニ? まさか来年も連れて来ようなんて考えてるんじゃないじゃろうな? おいおい、もうその手には乗らんぞ」
日刊くん:「え、いや……」
親父:「おいおいおい、いい加減にしてくれよ。来年はファーストステージから全試合を観戦しようなんてつもりじゃないじゃろうな。なんちゅうハードスケジュールじゃ! 年寄りを殺す気か!? 無理じゃよムリムリ!」
日刊くん:「……なんなら冥土へ連れて行ったろかい……」
てな具合にわあわあ言うとりますが、親孝行できて良かったネ、日刊くん! てって勝負球のスライダーが皆様の胸元へズバッと決まったところで、ちょうど時間となりました。またのお越しを。
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