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コラム「“チームnikkan”のアメフト講座 〜フットボールの楽しみ方〜

冷静な目で選手を見るトレーナーがチームを支える/佐竹実

 今シーズンの大学フットボールは、関大が法大を下し62季ぶり2度目の日本一に輝いた。来年1月3日のライスボウルで社会人王者と日本一をかけて激突するが、試合を残しているチームは関大だけではない。私の母校、青学大アメフト部は今季関東2部Bブロック2位。20日に1部Bブロック7位の専大との入替戦に臨む。

 昨季惜しくも入替戦出場を逃した青学大は“今年こそ1部昇格”という強い気持ちで練習に励んでいるが、この思いは選手だけのものではない。チームを支えるスタッフももちろん同じ思いだ。今回はそのスタッフとして、選手のコンディション管理に欠かすことが出来ない学生トレーナーの仕事を紹介したい。

心掛けていることはコミュニケーション


リハビリ中の選手と話す山内さん。コミュニケーションを図りながら回復状況を確認する
リハビリ中の選手と話す山内さん。コミュニケーションを図りながら回復状況を確認する

 青学大アメフト部の学生トレーナーは5人。その仕事は、選手の体調管理からけがの予防、負傷時の対応、リハビリ、そして練習のサポートが中心となる。4年生の朝岡玲奈さんは「ベストな状態の選手11人を試合に立たせること」がトレーナーの役割だという。同じく4年生の山内めぐみさんは「自己管理ができてこそアスリート。私たちが出来るのはその手助けです」と語る。2人の言葉は、選手を若干突き放したような印象を受けるかもしれない。しかし、この意識こそが学生トレーナーをやる上でとても重要なものだと感じる。

 選手、特に経験の浅い1年生などは我慢して練習を続けてしまうことで疲れがたまり、それが大きなけがにつながることがある。試合に出場する機会の多い3、4年生にとっては、この無理がチームの成績にも影響しかねない。この状況を未然に防ぐには、どの選手が今どのような状態なのか、選手とは別の立場から、冷静な目で選手を見てくれる存在が必要なのだ。

 朝岡さんと山内さんが、トレーナーとして心掛けていることは“コミュニケーション”だという。「万が一けがをした場合、個所は同じでもその状態は選手によってそれぞれです。古傷をまた痛めたのか、初めてのけがなのかとか。その状況判断を早くするためには、日頃から選手一人ひとりとコミュニケーションをとることが大事なんです」(山内)。そして同じけがでも選手との向き合い方にも違いがあるという。「たとえばシーズン中に同じ個所をけがした1年生と4年生がいたとします。最後のシーズンになる4年生と、まだ先がある1年生ではやはり違いますよね。4年生には1日でも早くグランドに立たせたいという思いがどうしても強くなってしまいます」(朝岡)。

選手と同じようにレベルアップが必要


練習を手伝いながら、選手一人ひとりのコンディションをチェックする朝岡さん
練習を手伝いながら、選手一人ひとりのコンディションをチェックする朝岡さん

 現在、青学大では体育会の各部の学生トレーナーが中心となって、理学療養士や社会人トレーナーを講師として招き、週1回勉強会を開いている。それぞれの部で発生したけがとそれに対する対処を報告しあい、意見を交換する。また栄養管理からドーピング問題まで、毎回いろいろなテーマを設定しレポートを作成。その発表も行っているという。「講師のお話しはもちろん、他の部の報告も参考になります。選手が練習を重ねて上手くなっていくように、私たちもレベルアップしていかないといけない」(朝岡)という思いから5人全員での出席を心掛けている。

 現在猛威をふるっている新型インフルエンザの影響はシーズン中の青学大アメフト部にも及んだ。リーグ優勝がかかった神大との大事な試合を前に選手が感染。この時点での入替戦進出は確定していたため、これ以上の感染を防ぐために、そして万全の体制で入替戦に臨むために、試合を棄権するという判断を下した。勉強会でもテーマとして扱っていただけに、山内さんは「本当に悔しかった」と振り返る。「選手、特に4年生は私たち以上に悔しかったと思う。でも(棄権という)判断をした以上、トレーナーとしてこれ以上感染を拡げないことに頭を切り替えました」。うがい、手洗いの徹底はもちろん、就職活動中の3年生にはセミナー会場等でのマスク着用も指示した。この結果、現在は感染者もなく、入替戦に向け順調にチームは仕上がっている。

最高のパフォーマンスをしてもらいたい


 どんなことがあってもトレーナーが選手としてフィールドに立つことはない。しかし選手が日々の練習の成果をグラウンドで示すように、彼女たちにとっても試合は発表の場だという。「選手一人ひとりのコンディションを把握して、全員を自信を持って送り出すことが出来れば、絶対(試合に)勝つことができると信じてるんです。みんなに最高のパフォーマンスをしてもらいたい。だから試合前はいつも緊張しちゃいますね」(朝岡)。

 選手にとっても、スタッフにとっても今シーズン最後の試合となる入替戦を前に4年生のマネジャーとトレーナーがサプライズを用意した。「勝つ」と書かれた横断幕。「勝ってほしい」という願いをこの一言に込め、選手に内緒でグランドに掲げた。チームを支えてくれるスタッフのこの気持ちとともに、青学大は専大との大一番に挑む。


○青山学院大学ライトニングブログはこちらから>

佐竹実(さたけ・まこと)
 1998年入社、電子メディア局勤務。青山学院大学でアメフトを始める。ポジションは4年間DL。

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