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特別連載 THE OTHER SIDE




田中将大 佑ちゃんとの再戦へ怪物は進化する

楽天の新人合同自主トレ初日、強めのキャッチボールをする田中将大=07年1月8日(撮影・小沢裕)楽天の新人合同自主トレ初日、強めのキャッチボールをする田中将大=07年1月8日(撮影・小沢裕)

 潜在能力と高校生離れした実力。「怪物」と呼ばずにはいられない。楽天田中将大投手(18)は最速150キロの直球と高速スライダーを武器に高校球界で数々の金字塔を打ち立ててきた。2年夏には駒大苫小牧を57年ぶり史上6校目の夏の甲子園連覇に導いた。高校通算35勝、甲子園でも通算8勝を挙げた。球団創設3シーズン目を迎える仙台のマウンドが次の舞台だ。

 高校3年間。栄光ばかりではなかった。チーム内の不祥事が発覚し、センバツ大会を辞退したこともあった。「天国から地獄まで見て、ほかでは絶対に味わえない経験ができた。でも、それはこれからの野球人生でも、普段の生活でも生かしていけることばかりだと思う」。

 野球人生、衝撃のライバル出現もあった。昨夏、甲子園決勝での早実・斎藤佑樹投手との球史に残る大激闘を演じた。田中は引き分け再試合の末に敗れた。秋季国体決勝で、再戦を果たすが、再び王者の座を譲った。田中は「斎藤と比べられることは正直、いやでした」と当時を振り返り、漏らす。日本中に注目された、あの甲子園での雰囲気についても「アウエーでした。早稲田パワー、すごいです」。高校野球の聖地で、主役を奪われ、自身を“悪役”と感じてもいた。

のじぎく兵庫国体・高校野球硬式・決勝 早実対駒大苫小牧 試合後、田中(右)と握手を交わす斎藤=06年10月4日(撮影・岡本肇)のじぎく兵庫国体・高校野球硬式・決勝 早実対駒大苫小牧 試合後、田中(右)と握手を交わす斎藤=06年10月4日(撮影・岡本肇)

 楽天では背番号「18」を背負う。高卒新人では西武松坂(現レッドソックス)以来となるエースナンバーに、球団の田中への期待の大きさも分かる。もう負けたくはない。「(プロでは)世代で1番の投手になれるように頑張りたい。斎藤には、年俸とか、いろんな面で引き離していたい」。斎藤は早大に進学し、それぞれ別々の道を歩む。4年後、「永遠のライバル」が大学卒業後、プロ入りしての再戦の日に思いをはせる。それまでに、怪物はさらなる進化を見せるはずだ。【由本裕貴】

由本 裕貴よしもと・ひろき
 05年、日刊スポーツ新聞社に入社し、野球部で甲子園などを取材。同年12月から楽天担当になり、06年11月から東北総局に所属。愛知県出身、23歳。

※本連載は毎週木曜日更新予定です



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