<アジア大会:柔道>◇第3日◇21日◇韓国・仁川

 男女計5階級が行われ、男子73キロ級の秋本啓之(了徳寺学園職)は決勝でガンバータル(モンゴル)に優勢勝ちし、2連覇を果たした。女子57キロ級で20歳の山本杏(国士舘大)は決勝で金ジャンディ(韓国)に一本勝ちし、初優勝した。女子70キロ級の新井千鶴(三井住友海上)は決勝で敗れて銀メダル。男子81キロ級の長島啓太(日本中央競馬会)女子63キロ級の阿部香菜(三井住友海上)は準決勝で敗れた後の3位決定戦で勝ち、銅メダルを獲得した。

 秋本は決勝で攻め手を緩めず優勢勝ち。6月に生まれた長男の心之介ちゃんは心臓を患っている。強い父親の姿を見せ「畳にはいつくばってでも勝った姿に何かを感じ取ってもらえれば」と誇った。

 腰の痛みで満足な稽古はできていない。この階級には中矢力ら強敵がいる。リオデジャネイロ五輪への道は険しいが、男子の井上監督は試合前「生き残るにはここで勝つしかない」と気合を入れた。28歳の元世界王者は死に物狂いで攻めた。投げを打ち、決まらなくても前に出た。

 高校時代から強さを発揮したが、摂食障害やけがに苦しみ五輪の舞台に立てていない。夢は「強いおやじの背中を見せる」ことと、世界選手権銅メダリストで厳しく育ててくれた父勝則さんの首に五輪の金メダルをかけること。「目標はこの先にある」と視線は鋭かった。