<アジア大会:競泳>◇第5日◇23日◇韓国・仁川

 【仁川(韓国)=23日】競泳の男子400メートル自由形決勝で、萩野公介(20=東洋大)は3分44秒48で銀メダルを獲得した。200メートル自由形で破ったロンドン五輪金メダルの孫楊(中国)08年北京五輪金メダルで今大会のプール会場に名前がつく朴泰桓(韓国)と中盤まで大接戦を演じた。後半は孫に引き離され、金メダルはならなかった。24日の400メートル個人メドレー、25日の200メートル背泳ぎで、5冠を狙う。

 金メダルは逃したが、表情には充実感が漂う。男子400メートル自由形決勝では、金星を挙げた200メートルと同様、北京五輪金メダルの朴とロンドン五輪の孫と互角に渡り合う。後半は孫に突きはなされたが、会場に名前のついた朴には連勝して銀メダルを確保した。

 経験の差が出た。100メートルのターンまでは体半分のリードを保つも、直後に2人に追いつかれる。その後もスピードが上がらず、300メートルのターンでは孫に体1つのリードを許した。自由形は昨年から主要国際大会に出たばかり。「ペースにのみ込まれた。まだ未熟者。勉強になった」とレースを振り返った。

 金メダルを取った200メートル自由形のレースの反響は大きかった。中国では孫へのバッシングが起こり、韓国では朴への同情論が巻き起こった。一方で萩野は地元のボランティアに声を掛けられ、この日の予選後にはシンガポールの新聞記者に直撃された。東洋大英語コミュニケーション学科に在籍するため、流ちょうな英語で返答したが、HAGINOの名前が世界に広がる象徴的な光景だった。

 先月のパンパシフィック選手権の200メートル個人メドレーでは、五輪金18個の怪物フェルプスに競り勝つ。アジア大会では自由形のスターたちと最後まで渡り合う。「強い人と戦うのは、めちゃくちゃ楽しい。水泳をやってきて良かった」と進化を実感した。

 残り2種目。今日24日は大本命の400メートル個人メドレーがある。世界歴代5位の4分7秒61の日本記録を持つが「7秒台では物足りない。6、5秒台を狙う」。日本記録の大幅更新で4個目の金メダルに花を添える。【田口潤】