<アジア大会:卓球>◇第11日◇29日◇韓国・仁川

 今度こそ打倒中国だ!

 卓球団体準決勝で、福原愛(25=ANA)石川佳純(21=全農)平野早矢香(29=ミキハウス)で臨んだ女子の日本が、シンガポールを3-2で下し48年ぶりの銀メダル以上を確定させた。今日30日の決勝で中国と対戦し、66年バンコク大会以来の金メダルに挑む。

 張り詰めた緊張の糸を、石川がガッツポーズで解いてみせた。歓喜の笑顔が日本チームのベンチで爆発した。強豪シンガポールをフルセットの末に撃破し、再び中国の分厚い壁に挑む、挑戦権を得た。

 1番手の福原、2番手の石川が連取。場内に漂う完勝ムードは平野、福原の連敗で追いつかれ一変する。だが、石川の心臓は鉄のように硬かった。「強気が大事です。最後まで強気で攻めました」。5番手として2ゲーム連取も、続く第3ゲームを落とす。それでも「必ず4ゲーム目で勝って締める」と誓った。負ければ、2番手で得た記念の白星の価値が薄れるからだ。

 フェン・ティアンウェイとの一戦。あのロンドン五輪女子シングルス3位決定戦で敗れ、個人のメダルを逃した宿敵だ。国際連盟のデータで、ここまで3勝9敗。だが合宿で練習の3分の1を男子相手とこなした自信があった。「強いドライブも怖くなくなり、ラリーで得点できるようになりました」。ゲームカウント2-2に追いつかれたが、最後は11-5と突き放した。

 今春の世界選手権団体戦(東京)も、左足小指の疲労骨折で欠場した福原の分までカバーする、孤軍奮闘の活躍。日本を銀メダルに導き、この日も1人で2勝し、さあ中国戦。分厚い壁に変わりはない。だが、ひるむような今の石川ではない。「全力で中国の選手にぶつかります」。五輪決勝で完敗したロンドンの借りを、仁川で返してみせる。