最後のとりでは、やっぱり…カレーだ。公務員ランナー川内優輝(27=埼玉県庁)が、大好物を胃袋に流し込んで決戦を迎える。男女マラソン代表4人が9月30日、仁川市内で記者会見に臨んだ。渡航の際、なくてはならない逸品。苦い経験から川内の場合、それは誰もが当然のパスポートと、カレーのレトルトパックだ。

 今年3月30日の仁川国際ハーフマラソン。1時間6分4秒で5位だった川内はレース前から腹痛に見舞われた。その前夜、市内のカレー店で食べたものが原因のようだった。「だから今回は、ちゃんと持ってきましたよ」。会見の硬い表情は崩れ、選手村に戻る車に乗り込む間際、底抜けに明るい笑みを浮かべた。

 暑熱対策として、川内がメーカーに依頼したシューズと帽子の改良は、若干の微調整にとどまった。やはり最強の味方、持つべき友は、何とも安上がりだが験担ぎに欠かせないカレーしかない。2時間6分台の自己ベストを持つ中東やモンゴル選手との金メダル争いに「前半で無駄な力を出さずに抑える。揺さぶる時は揺さぶって競り落とす。終盤までもつれれば、いいレースになる」と川内。世界陸上団体銀メダル、自己ベスト更新、そして腹痛と過去3度のレースでドラマを演じた韓国の地で、川内が何かを巻き起こす。