バスケットボール男子1次リーグで、4選手が買春行為で代表認定を取り消された日本(世界ランキング49位)が、香港(同79位)を88-82で下した。これで2勝1敗とし、各組2位までが進める準々決勝進出に前進した。不祥事発覚後初の試合は8人での戦いを余儀なくされ、第4クオーター(Q)に一時逆転されながらも勝ち越しに成功。ハンディを乗り越え、勝利をつかんだ。25日のカタール-台湾の結果次第で、日本の準々決勝進出が決まる。

 試合後、日本の選手たちが不祥事について初めて口を開いた。辻は「すぐには理解できなかった。これからどうなってしまうというのが正直なところ。(試合は)状況が状況なので勝たないといけない思いがあった」と言葉を選びながら語った。置かれる環境と同じように、試合でも世界ランクで大幅に下回る香港相手に苦しんだ。試合終了残り3分7秒で逆転を許し、残り2分12秒で勝ち越す辛勝だった。

 16日のカタール戦から日本は帰国した永吉と佐藤に代え、辻と張本を先発起用。ベンチは3人だけ。ここ2試合、日本は積極的に選手を交代し、28分以上コートに立った選手はいなかったが、香港戦はベンドラメ(34分15秒)張本(32分11秒)熊谷(30分5秒)と3人が30分以上の出場。28分13秒出た辻も「体力面の負担は大きかった」と打ち明けた。それだけでなく、戦術も限定された。フォワードは6人から3人。守備面で不慣れなポジションでのプレーを余儀なくされた。

 試合開始前にも弊害があった。センターラインを挟み、両軍が握手する場面。12人の香港代表の中には握手する相手が前におらず、困った様子の選手もいた。

 騒動後、選手村からの外出は禁止となった。食事もすべて選手村の中で済ませ、村内でも公式ウエアの着用を徹底し、規律順守に努めているという。周囲の目は厳しくなったが、指揮を執るマンドーレ・コーチは「この試合に臨むのは本当に難しく、何とか勝つしかなかった」と大粒の涙をこぼした。不祥事だけが注目される大会にするわけにはいかない。【上田悠太】