日本歴代4位の自己記録を持つ井上大仁(25=MHPS)が2時間18分22秒で金メダルを獲得した。同大会の日本勢のマラソン金メダルは98年バンコク大会の高橋尚子さん以来5大会ぶり、男子に限れば86年ソウル大会の中山竹通さん以来8大会ぶりだ。園田隼(29=黒崎播磨)は4位だった。

20年東京オリンピックを見据え、暑さのテストと位置付けた舞台だった。アジア大会の舞台は赤道直下のジャカルタ。走れば体へのダメージが大きく、今後の練習や、本格化するマラソンシーズンへの支障をきたす可能性もあり、大迫傑(27=ナイキ・オレゴンプロジェクト)や日本記録を持つ設楽悠太(26=ホンダ)は回避。しかし、井上の考え方は違った。暑い中での実戦経験を積むことが、東京オリンピックでのメダル獲得、またまた東京五輪の代表選考会「マラソン・グランド・チャンピオンシップ」(19年9月)につながると考えた。その舞台で結果を出し切った。

昨夏の世界選手権(ロンドン)にも出場したが、男子日本勢3人の中で最下位の26位。世界レベルのハイペースに序盤から付いていき飛ばしたが、中盤から失速した。しかし、それも無理を承知で付いていったもの。20年東京オリンピックで活躍するため、世界のペースを体に染み込ませた。今年2月の東京マラソンでは日本歴代4位となる2時間6分54秒を出した。将来の自分を思い描きながら、階段を上がる。

昨夏の世界選手権は世界のスピードを、今回のアジア大会は暑さを体験した。すべては2年後のため。日の丸を背負って国際大会で培った経験を、東京につなげる。