元陸上の五輪選手で本紙に「爲末大学」を執筆する為末大氏(36)が、ブータン五輪委員会(BOC)のスポーツ親善大使に就任した。2020年東京五輪に向けて、選手強化などのスポーツ政策を支援する。

 為末氏は先月末からブータンを訪れ、BOCのソナム・カルマ・ツェリン事務局長とともに調印式に参加し、契約を締結した。そして今月上旬にはブータン陸連の協力のもと、ジュニア代表選手の強化合宿に参加し、自らのトレーニング方法や五輪の出場経験を伝えた。

 為末氏は「日本人選手が獲得するメダル数も重要だが、日本人アスリートや指導者が世界に散らばり、五輪選手を生み出し、指導した自国の選手が人々へ希望を与えるということが、日本らしい貢献ではないか」と考えており、五輪経験選手が少なく、メダル獲得経験のないブータンを援助したいという思いに至ったと説明する。

 現在アスリートのセカンドキャリア支援を行う一般社団法人「アスリートソサエティ」代表理事を務めており、スポーツ親善大使の活動として、陸上競技だけでなく他競技の選手を派遣し、競技普及や選手、指導者への指導、ブータン選手を日本に招待する交流プログラムなどを企画している。