第92回箱根駅伝(来年1月2、3日)で連覇を狙う青学大の四天王の1人、小椋裕介(4年、札幌山の手高出)が、集大成の走りを見せる。初優勝した今春は3年連続で7区を走り、区間新記録まで8秒に迫る快走で優勝に貢献した。今年は出雲駅伝を優勝。続く、11月の全日本選手権では2位に甘んじたが、敗戦を糧にラスト1冠へチーム一丸となった。来春から実業団の強豪ヤクルトに入社も決まっており、有終の美で20年東京五輪を目指す。

 視線は4年間の終着地点、その一点だけに向けられている。青学大の小椋は、最後の箱根路で最高の走りを披露し、有終の美を飾るつもりだ。昨年は3年連続の7区で区間賞を手にし、チーム優勝の一翼を担った。迎えたラストイヤー。大学生活のすべてをかけて完全燃焼を誓う。今月上旬の千葉・富津合宿を終え、もう態勢は整っている。胸に秘める思いを口にした。

 小椋 状態は上がってきた。いろいろなげうって厳しい生活を4年過ごしてきた。大学時代の青春をそれぞれ表現する場があるとは思いますが、僕にとってはそれが箱根。やってきたことをしっかり出したい。

 敗戦がまた1つチームを成長させた。3冠を狙ってスタートした今年は、10月の出雲駅伝を勝ったが、11月の全日本大学駅伝で東洋大に敗れ2位に終わった。エースの神野大地(4年)がケガから復帰したことで選手に余裕が生まれたが、逆にそれが油断に変わった。2区を走った小椋も想定内の走りだったとはいえ、2位でタスキを受けるも、順位をひとつ落とした。

 小椋 想定が甘かった。神野が戻ってきたことで「あいつが何とかしてくれる」という思いが浸透していた。それが敗因。でも、負けたことで意識は変わった。

 神野、久保田和真(4年)、一色恭志(3年)らとともに「青学・四天王」といわれる。ただ、自身は納得していない。7月のユニバーシアード夏季大会(韓国)のハーフマラソンで金メダルを獲得してもその思いは変わらない。常にチャレンジャーの思いを掲げる。

 小椋 駅伝では3人に匹敵するものがない。エースにこだわってやってきたが、いつもだれかが上にいる。昨年は区間新まで8秒。区間は決まっていないが、自分の走りができれば無理なタイムではない。

 連覇の先に夢が広がっている。来春、ヤクルトに入社が決まっている。社会人ではマラソンで20年東京五輪を目標にしていく。

 小椋 できるだけ早くマラソンに挑戦したい。箱根はそこにもつながっていくと思う。

 真のエースへ、4年間のすべてをぶつける。【松末守司】

 ◆小椋裕介(おぐら・ゆうすけ)1993年(平5)4月16日、士別市生まれ。士別中2年で陸上を始める。札幌山の手高3年時に全国高校駅伝1区で区間12位(チームは29位)。ベストタイムは5000メートル13分55秒97、1万メートル28分27秒73。173センチ、50キロ。家族は両親と弟3人。

 ◆第92回箱根駅伝 優勝候補は昨年の覇者、青学大。全日本大学駅伝こそ2位だったが、小椋らエース格の4人を含め、昨年のメンバー8人が残る。2年生の田村らも成長しており、選手層の厚さで1歩リードしている。相手筆頭はその全日本大学駅伝を制した東洋大。出雲駅伝は4位だったが、力ある服部兄弟が中心となりチームを初優勝に導いた。2年ぶり王座奪回へ、上昇気流に乗っている。50回目の出場、駒大も侮れない。2大大会ともに3位。2、3年生が中心だが、4年生も2大大会ともに走った馬場、其田以外の選手が意地を見せればチャンスがある。早大、山梨学院大が3強に続く。