全日本実業団対抗駅伝(ニューイヤー駅伝)は来月1日、前橋市の群馬県庁前を発着点とする7区間(100キロ)で行われる。コニカミノルタは01年以降に8回の優勝を誇る“21世紀の駅伝王者”。今季は宇賀地強(28)と山本浩之(29)のベテラン勢が好調で、若手が故障から復調すれば盤石の布陣となる。

 宇賀地は前回初めて5区(15・8キロ)に出場して区間3位。チームをトップから3位に後退させてしまった。9秒差でタスキをつないだが「自分が流れを悪くした」と悔やんだ。次の6区でトヨタ自動車が差を広げて優勝し、3連覇を狙ったコニカミノルタは結局、2位に終わった。

 宇賀地がスピードで競り合う3区や4区でなく、単独走となり1人で押して行くことの多い5区に回ったのは、大会1カ月前の福岡国際マラソン出場後の駅伝だったためだ。今季は駅伝のあとにマラソンに出場する流れで(2月の東京を予定)、11月には1万メートルで27分55秒02をマークするなどスピード練習も十分に積んでいる。マラソン練習と並行しての27分台は初めてで、トラック代表になっていた頃とは違ったアプローチで“スピード”を出している。宇賀地は自社ホームページで「必ず前回の借りを返しに行きます。1月1日に調子のピークを合わせることは、実業団選手としての責任」とコメントしている。今大会は最長区間の4区(22キロ)を走る予定で、持久力とスピードを兼ね備えた宇賀地が新たな強さを見せてくれるはずだ。

 遅咲きの山本もチームを支える。今年2月の別府大分毎日マラソンでは2時間11分48秒で日本人2位、11月の八王子ロングディスタンス1万メートルでは初めて27分台をマークした。これまでニューイヤー駅伝への出場は2回だけだが、今回は勝敗を分けることが多い3区か4区を走る可能性もある。山本は「駅伝とマラソンを両立させる」と意気込む。

 前回4区の設楽啓太(24)3区の菊地賢人(25)は、故障があって苦しいシーズンとなった。1年前の設楽はルーキーながら4区でトップに立ち、菊地は3区区間2位と好走。菊地は2月の全日本実業団ハーフマラソンでも日本人トップの3位になるなど力はある。八王子ロングディスタンスでは28分24秒01まで復調しており、元日には十分に間に合う。一方、設楽は「故障から回復して調子を上げているところ」だと自社サイトでコメント。2人が前回同様3区、4区を任せられるところまで復調すれば、好調の宇賀地と山本をどの区間にでも起用でき大きなアドバンテージとなる。

 コニカミノルタは駅伝本番にピークを合わせる調整能力が抜群に上手いチームだ。2年ぶり9回目の優勝は射程圏内にある。