リオ決定だべえ!? 女子マラソンの福士加代子(33=ワコール)が、リオデジャネイロ五輪最終選考会の名古屋ウィメンズ(13日)を欠場することが決まった。1日、大会実行委員会が発表した。1月の大阪国際で日本陸連設定記録を突破して優勝し、代表入りが確実視されながら、落選の可能性もあるとしてエントリーしていた。ワコールの永山忠幸監督(56)は「果報は寝て待てという言葉を重視した」と説明し、リオ当確を確信しての判断とみられる。

 福士をめぐる五輪代表選考問題が決着した。名古屋ウィメンズの大会実行委員会が、福士の欠場を発表。中41日で強行出場する事態は避けられた。福士を指導するワコールの永山監督が経緯を説明した。

 永山監督 チーム全体の意見として(選考を)待とう、という判断をした。ファンの方々のメール、電話に心を動かされました。『果報は寝て待て』という言葉を重視したほうがいい、というものもあった。福士と私は同じ考えです。福士が走りたくないのに走らせることも、福士が走りたいのに止めることもない。

 陸上のプロとして代表当確と確信して、ファンの声に背中を押されての判断。日本陸連からの働きかけについては「全くないです」とした。日本陸連の尾県専務理事は「大阪国際女子マラソンでの身体的なダメージを考えると、今回の判断は的確だと思います。まずは疲労を抜き、万全の状態で次の目標に向けて再始動してもらえればと思います」とコメントを出した。

 福士は1月の大阪国際女子で日本陸連の設定記録を13秒上回る2時間22分17秒で優勝。「リオ、決定だべえ」と喜んだが、あらかじめ決まっていた選考要項に従えば、事前の「代表内定」は得られない。わずかに落選の可能性があることから、強行出場を検討。これが陸連を揺さぶり、代表選考のあり方に一石を投じる形になった。21日に「名古屋に出ることは避けてほしい」と異例の要望を出して騒動を招いた麻場強化委員長は、この日「歓迎している」と喜んだ。

 2月25日には福士の一般参加が発表された。同時に木崎、野口ら招待選手や一般参加の顔ぶれもすべて判明。その際に、永山監督は「出場をやめるとすれば、当日のレース環境などを見て、ワコールとして福士の落選がないと判断した時だけだ」と話していた。ペースメーカー設定も大阪国際より約3分遅い2時間23分前後(ゴールタイム)となり、福士の2時間22分17秒を上回るライバルの存在が少なくなることも、回避のきっかけといえる。

 選考要項では、複数選手が設定記録を突破した場合に優劣をつける規定がない。永山監督は、今後の代表選考について「五輪選考が終わってから、しっかり来年の世界選手権(ロンドン)のルールを検討してほしい。現場の選手、コーチが納得いかないものであるなら、話し合ってほしい」と要望。麻場強化委員長も「選考会が全部終わった時に振り返らないといけない」とした。【益田一弘】

 ◆名古屋ウィメンズのペースメーカー設定 5キロを16分55秒~17分のペースで30キロまでを予定している。順当なら、ゴールタイムは2時間23分前後になる見込み。ペースメーカーは一般的に、選手同士がけん制してスローペースになることを避けるために設定される。ペースは主催者が日本陸連や出場選手、指導者の意向を聞いて調整する。大阪国際は、名古屋より速い5キロ16分40秒でゴールタイムは2時間20分台相当だった。ペースの最終決定は天候なども考慮して、レース前日になる。